2003 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖性水域大村湾海底土壌の堆積年代別環境要因分布と環境変化の関係
Project/Area Number |
14580552
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高辻 俊宏 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (70163219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 剛 長崎大学, 環境科学部, 教授 (80039586)
吉川 勲 長崎大学, 環境科学部, 教授 (80039528)
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Keywords | 環境放射能 / 体積年代測定 / 元素分析 |
Research Abstract |
堆積物中の放射性同位元素の分析をGe半導体検出器で、主成分元素を誘導結合プラズマ発光分光分析装置で、微量成分元素を主として四重極型誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて分析した。 堆積物中の^<210>Pbの垂直分布の分析から、大村湾の堆積速度は、沿岸域では速く、湾中心部においては遅いという地域分布が得られた。東京湾や大阪湾などと比較すると、堆積速度の湾内の分布は似ている。^<137>Csの垂直分布には明確なピークは見られず、核実験のグローバルフォールアウトによる年代測定はできなかった。 元素分析の結果、主成分元素(P、Ti、K、Mg、Na、Al、Ca)の垂直方向の変化や地点差はあまり見られなかった。K、Ti、Y、Rb、Sr、Zr、Nb、Cs、Hf、Thについては、地殻の平均組成に比べて過剰に存在した。Na、Zn、W、Pb、Cdについては、表層面への上昇傾向が見られた。これは、堆積物に含まれる成分が溶出することに起因している可能性があるため、堆積する外来性の成分が変化したことによると結論づけることは現時点ではできない。Fe、Mnについては、地点によって、表層面への上昇傾向が見られるが、これらの元素は還元環境下において水中に溶出することがわかっているため、溶出による濃度分布である可能性が高い。これらの中でも、Cdは表層面においての上昇傾向が顕著である。これがもし外来性の成分の変化によるとすれば、人的要因による環境変化の反映と考えられ、重要な結果であろう。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 鬼塚昌彦, 遠藤暁, 石川正純, 星正治, 櫻井良憲, 高辻俊宏 他: "硼素含有壁を持つ組織等価比例計数管を用いた重水場の線質評価"京都大学原子炉実験所学術講演会報文集. 37. Web (2003)
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[Publications] 高辻俊宏, 吉川勲, 藤安得博, 中村成孝, 松瀬美智子, 石井保裕 他: "西彼杵半島及び大村湾周辺の岩石中の放射性物質について、他"第4回環境放射能・放射線-夏の学校 プロシーディング. 64-77 (2003)
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[Publications] 高辻俊宏, 吉川勲, 藤安得博, 中村成孝 他: "大村湾堆積物中における重金属元素分析他"第5回環境放射能・放射線-夏の学校プロシーディング. (印刷準備中). (2004)
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[Publications] 中村成孝, 藤安得博, 高辻俊宏, 吉川勲: "長崎における大気中の^<210>Pbと^7Beの挙動"第5回「環境放射能」研究会要旨論文集. 1P17 (2004)
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[Publications] Nakamura, T., Hoel, D.G.: "Comparing cancer risks between radiation and dioxin exposure based on two-stage model"Environmetrics(Europe). 14. 203-211 (2003)