2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境動態標識としての鉛同位体比の高感度・迅速測定法の開発
Project/Area Number |
14580555
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
今泉 幸子 日本女子大学, 理学部, 助手 (10247091)
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Keywords | 鉛同位体比 / SIMS / LA / ICP-MS / 動態解析 / 環境鉛 / 環境試料の直接分析 |
Research Abstract |
二次イオン質量分析(SIMS)さらにレザーアブレーションICP-MS(LA/ICP-MS)による環境固体試料中の鉛同位体比の直接分析法について、今年度は主にLA/ICP-MSによる低濃度試料の測定法について、数種の環境標準試料を用いて検討を行った。LA/ICP-MSについては、昨年度に測定条件の検討を行い硫化鉛としての鉛同位体比測定について精度のよい測定法を確立した。しかし、環境試料中の鉛濃度は0.01%程度とかなり低いため、鉛濃度0.001%までの試料について引き続き測定法の検討を行った。まずNIST981標準試料を硫化鉛へと変換し、グラファイトで種々の鉛濃度に調製したものを用い測定を行ったところ、鉛濃度0.001%でも相対標準偏差0.5%以下と高い精度が得られた。また鉛濃度と同位体比については相関関係を示唆する結果が得られていたが、さらに詳細に濃度との関係を検討した結果、2%程度までは濃度に関係なくほぼ一定の同位体比が得られることが分かった。測定の際には標準試料による測定値の規格化を行っているが、通常の環境試料の測定の場合は、一定の濃度で調製した標準試料を用いても濃度による補正の必要がないことがわかった。また環境試料の測定においては、種々の共存元素が存在することが問題となるが、主なマトリックスであるケイ素、鉄、アルミニウムなどについて共存の影響を検討した結果、これらの元素が共存しても鉛同位体比に影響がないことがわかった。そこで、NIST SRM1648都市大気粉塵、NIES No.2池底質、No.8自動車排出粒子、また方鉛鉱などを用い測定を行ったところ、それぞれ既に報告されている値と良好な一致を示した。本方法により環境試料中の鉛同位体比を直接測定する可能性を得られた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Akiyama, Y.Imaizumi, Y.Arikawa: "Studies on the Simultaneous Determination of Multi-elements in Coal Samples by ICP-MS"The 4^<th> Japan-Korea Joint Forum of EWU, OU and JWU. 89-90 (2003)