2003 Fiscal Year Annual Research Report
無機細孔材料のナノ空間を利用した水中有機汚染物質の吸着除去に関する研究
Project/Area Number |
14580580
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 紘基 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10002023)
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Keywords | 層状化合物 / インターカレーション / イオン交換 / ナノ層間 / バーネサイト / ハイドロタルサイト |
Research Abstract |
前年度に引き続き細孔材料として層状二酸化マンガン(バーネサイト)とハイドロタルサイトについて合成条件の検討と特性の評価を行った.ナトリウム型バーネサイトの有効層間距離はナトリウムイオンサイズに対応して0.15nmであった.前年に報告したように,これを塩酸で処理してプロトン型バーネサイトとし,さらにプロピルアミンと反応させるとプロピルアンモニウム型バーネサイトが得られるが,その有効層間距離はプロピルアンモニウムの分子長に対応し0.85nmに拡大した.この層間距離の拡大により3価バナジウムイオンのインターカレーションが可能になることを明らかにした.サイズの大きな汚染有機分子の層間への取り込みも同様に可能になるものと考えられる.層状化合物として次にハイドロタルサイトの合成と特性評価を行った.これはアルミニウムとマグネシウムの硝酸塩混合溶液と水酸化ナトリウム溶液の反応によって得られ,塩混合溶液に水酸化ナトリウムを加えると水酸化アルミニウムが混在し結晶性も不良であったが,添加順序を逆にすると純度と結晶性のよい生成物が得られることを明らかにした.この理由はpHを低い値から増加させるとハイドロタルサイトの生成する前に水酸化アルミニウムの沈殿領域を経由するが,高pH側から合成するとハイドロタルサイトが先に生成するためと考えられた.硝酸ハイドロタルサイトの有効層間距離は0.32nmであったが,ATP陰イオンのインターカレーションにより有効層間距離は1nmに増加した.この化合物は層間にサイズの大きな陰イオン性汚染有機分子を取り込むことができるものと考えられる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 田村紘基: "溶解度計算により推定した亜鉛めっき鋼板腐食生成物中の保護被膜成分"鉄と鋼. 89・11. 1165-1169 (2003)
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[Publications] H.Tamura, K.Nakamura, T.Takeda, S.Kikkawa: "Preparation and Characterization of Layered Manganese Oxide (Birnessite) and Its Intercalation Reactions"J.Ion Exchange. 14. 133-136 (2003)