2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580591
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
樋高 義昭 愛媛大学, 理学部, 教授 (80036417)
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Keywords | クロロベンゼン / 反応機構 / 素反応 / 反応中間生成物 / 速度定数 / 燃焼温度域 / クロロエタン / 衝撃波管 |
Research Abstract |
ダイオキシン類生成の主要な反応中間体と考えられているクロロベンゼンの燃焼温度域での消費及び生成の反応機構の解明を目的に研究を行った。以下に示す(1)から(2)の結果を基に、238個の素反応からなる反応機構を構築し、測定結果の再現を試みた。(1)反応物(クロロベンゼン)の燃焼温度域での主な反応中間生成物はベンゼン、アセチレン、ジアセチレン、塩化水素、水素であること,クロロベンゼンの分解は、1300K以上の温度で起き、1700Kでは完全分解している事を明らかにし、加熱温度とそれら生成物の生成量との関係を決定した。(2)クロロベンゼン-水素系、クロロベンゼン-メタン系、及びクロロベンゼン-ジメチルエーテル系の研究を行い、温度と各化学種の生成物量との関係を決定した。塩素化合物に対し、これまでに報告されている反応を使用したのでは、クロロベンゼン-酸素系、クロロベンゼン-水素系、クロロベンゼン-メタン系、及びクロロベンゼン-ジメチルエーテル系の測定結果は再現出来るが、クロロベンゼン分解では、計算上クロロベンゼンが5%しか分解せず、しかもベンゼンはほとんど生成しなかった(0.1%以下)。この問題を解決するためには、これまでに報告されていない、分子脱離反応C_6H_5Cl→C_6H_4+HClを仮定する必要がある事を見出した。この反応の起きていることを確認するために、クロロベンゼン熱分解におけるHClの経時変化の測定を行い、分子脱離反応の起きていることを確認し、速度定数を決定した。含塩素直鎖炭化水素(クロロエタン)の燃焼温度域での分解・燃焼の研究から、主な中間生成物はエチレン、アセチレン、塩化水素、水素、1,3-ブタジエンである事を解明し、温度とそれら生成物量との関係を決定した。クロロベンゼン等の芳香族塩素化合物はほとんど生成しないこと、C4炭化水素が比較的多く生成すること等を明らにし、反応機構を決定した。
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