2003 Fiscal Year Annual Research Report
チキソトロピーゲルによる環境汚染物質の目視計測に関する研究
Project/Area Number |
14580598
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 貴 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (10186942)
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Keywords | チキソトロピーゲル / 目視計測 / 環境汚染物質 / 簡易迅速定量 / 銅イオン / シンプルテクノロジー / モニタリング技術 |
Research Abstract |
振動応答性チキソトロピーゲル(N-ラウロイル-L-グルタミン酸-α,γ-ジブチルアミド)を用いた水中の全銅(I、II)イオン、全鉄(II、III)イオンの目視計測法について検討を行ってきた。前年度において、バソクプロイン含有ゲルを抽出発色媒体とすることで環境水中の銅イオンが計測でき、一方、バソフェナントロリンを用いることで鉄イオンを目視計測する方法を確立することができた。ただし、環境基準濃度付近の試料に対してゲルの色強度から濃度を算出する場合、色の僅かな変化を的確に目視で計測することは熟練者以外の測定者にとっては難しいことがわかった。またゲルの色強度は比較的低い(薄い)方が視覚的に判断しやすいこともわかった。そのため、ゲルの色強度は高くならない範囲で、試料が基準値を超えているか否かを迅速に判断できる手法を新たに確立する必要が生じた。そこで本法の計測法を改良し、2段階目視計測法を考案した。初回のゲルによる目視計測で基準値を超えているか否かを判断し、もし基準値以上であれば初回で抽出後の試料水を別のゲルにより抽出し、その色強度から濃度を測定する方法を検討した。今回、この試みとして全銅イオンについて検討した。 初回の抽出では、排水基準値(47μM)の銅イオンが抽出されるのに必要なモル数(銅イオンの2倍モル)のバソクプロインをゲルに予め加えた。初回の抽出でゲルは銅イオン濃度に応じて薄黄色〜橙色に変色した。さらに抽出後の水溶液を2つ目のゲルに加えて振とうし目視計測した。このとき無色であれば基準値を超えていないことになる。着色した場合はそのゲルの色強度を基に、色強度-銅イオン濃度の関係より濃度が求められる。従って、初回の抽出で明らかに色強度が低い場合、基準値以内であることが迅速に判断でき2度目の抽出は不要となる。基準値以上の場合、2度目の抽出を行うことで濃度が定量可能である。
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Research Products
(1 results)