2002 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性がんに有効な海洋産ピロールアルカロイドの化学合成
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14580612
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩尾 正倫 長崎大学, 工学部, 教授 (00100892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 勉 長崎大学, 工学部, 助手 (80295097)
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Keywords | 多剤耐性ガン / 多剤耐性克服作用 / 海洋天然物 / ピロールアルカロイド / lamellarin / stroniamide / ningalin |
Research Abstract |
多剤耐性がんに有効な海洋産3,4-ジアリールピロールアルカロイド類の効率的な化学合成法の開発研究を行った。 まずイミノジ酢酸エステル類とシュウ酸ジメチルとのHinsberg型縮合により、3,4-ジヒドロキシルピロール-2,5-ジカルボン酸エステル類を合成した。その後、水酸基を無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させ、3,4-ビストリフラート誘導体へと変換した。その後、各種アリールボロン酸類とのパラジウム触媒クロスカップリングにより、3,4-ジアリールピロール-2,5-ジカルボン酸エステル類を高収率で合成した。この段階で、同種のアリール基を一挙に二つ導入することも、また異種のアリール基を段階的に導入することも可能であることが判った。このようにして合成した化合物の一つは、多剤耐性克服作用を有するpermethyl stroniamide A合成の鍵中間体であった。 さらに、上記手法で合成した、3,4-ジアリールピロール-2,5-ジカルボン酸ジエステルの限定加水分解、ラクトン化、加水分解、脱炭酸、PIFAによる酸化的環化により3,4-ジアリールピロールアルカロイド類の中で最も複雑かつ高活性な多環縮合ラメラリン類への変換ルートの開発にも成功した。また、最終の多環構造を構築するために、ピロールカルボン酸を、酢酸パラジウムの存在下アセトニトリル中で還流すると脱炭酸を伴う閉環が起こり、ラメラリン骨格が一挙に生成するという興味ある新反応を見いだすことができた。これらの手法を用いることによりlamellarin G trimethyl etherの全合成を達成した。また、ningalin Bの形式全合成も達成することができた。 これらの成果につては、第32回複素環化学討論会において報告した(要旨集:p.221-222)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fumito Ishibashi, Shinji Tanabe, Tatsuya Oda, Masatomo Iwao: "Synthesis and Structure-Activity Relatioship Study of Lamellarin Derivatives"Journal of Natural Products. 65・4. 500-504 (2002)
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[Publications] Naruki Tahara, Tsutomu Fukuda, Masatotmo Iwao: "Optional ortho and lateral lithiation of 4,4-dimethyl-2-(o-tolyl)oxazolines"Tetrahedron Letters. 43. 9069-9072 (2002)
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[Publications] 岩尾正倫, 福田勉: "位置選択的リチオ化反応を利用したインドール誘導体の効率的官能化"有機合成化学協会誌. 60・7. 691-700 (2002)