2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物性食品加工廃棄物資源化を視野に入れた抗酸化をキーワードとした生物活性物質探索
Project/Area Number |
14580614
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
永津 明人 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (70244572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50191888)
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Keywords | Prunus yedoensis / NO産生抑制活性 / 抗酸化活性 / フラボノイド |
Research Abstract |
今年度は、食用では飾りに一部用いられているのみであまり利用されていないサクラ(ソメイヨシノ、Prunus yedoensis)の花弁の抗酸化活性を持つ生物活性物質の探索を行った。 サクラ花弁をエタノール抽出し、それを酢酸エチル-水で分配、さらに水層をn-ブタノール-水で分配した。各画分のDPPHラジカル補足活性試験を用いた抗酸化活性とマウス腹腔マクロファージを用いてLPS刺激によるNO産生抑制の活性を調べたところ、抗酸化活性が酢酸エチル層とn-ブタノール層に、また、酢酸エチル層にNOの発生量の抑制が観察された。さらに、ラジカルスカベンジの作用によらずNOの発生量が抑制されていることを確認するため、誘導型NO合成酵素の発現抑制活性も確認したところ、酢酸エチル層は酵素レベルから抑制していることが明らかとなった。よって、サクラのこの酢酸エチル層は抗酸化および抗炎症性の素材となりうることが明らかとなった。現在、この酢酸エチル層を分画し活性本体を突き止めようとしている。現段階でkaenpferol配糖体、quercetin配糖体などのフラボノイド配糖体を単離したほか、分離途中のHPLCのフラクションにおけるUVスペクトルなどからフラボノイドと推定できる数種の化合物およびその配糖体の存在が確認できている。 一方、活性試験と並行してn-ブタノール画分の分離も進めた。この画分には極めて結晶性のよい化合物が大量に含まれていた。それら化合物を単離しスペクトルによる構造解析を行った結果、クマル酸およびコーヒー酸の1-O-グルコースエステルが大量に含有されていることがわかった。
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