2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580625
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長束 俊治 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (00243163)
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Keywords | 脊椎動物 / ゼブラフィッシュ / 神経胚 / 糖蛋白質 / 複合型糖鎖 / ルイス型抗 / フコース転移酵素 |
Research Abstract |
我々は胚時期特異的に発現するα(1,3)フコース転移酵素遺伝子をゼブラフィッシュから単離することに成功し、zFT1と名付けた。この酵素はルイスX構造を合成する活性を持ち、受精後12時間から発現を始め、18時間でピークに達し、以後急激に減少する。本年度の研究においては、まず、このフコース転移酵素が生合成している糖鎖の、ゼブラフィッシュ胚における検索と、構造決定を行った。その結果、2本鎖複合型糖鎖の二つの非還元末端にそれぞれルイスX構造を持つ糖鎖が見出された。この糖鎖は、やはり受精後12時間頃から現れ18時間後に最大量を示した。また、ルイスXの末端ガラクトースに、さらにガラクトース残基がβ1-4で結合している新規な構造も見出された。興味深いことに、蛋白質に結合しているものに加え、相当量の遊離の糖鎖も検出された。これら、胚時期特異的な発現を示すルイスX含有N-結合型糖鎖の機能を解析するために、次に我々はそれら糖鎖を結合している糖蛋白質の検索を行った。免疫沈降法とウェスタンブロット法をピリジルアミノ化による超高感度糖鎖構造解析法と組み合わせることにより検出を行った。その結果、ルイスX含有N-結合型糖鎖を持つ糖蛋白質は限定されており、特にSDS-PAGE上で62kの分子量を持つ糖蛋白質が、主たる蛋白質であることが判明した。我々は、この糖蛋白質をzGP62と名付けた。一方、今回の研究で見出したGalβ1-4Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAcβ1-R構造の生合成経路を明らかにするため、zFT1酵素がGalβ1-4Galβ1-4GlcNAcβ1-R構造を基質にできるか否かを測定した。その結果、zFT1酵素はその構造を基質として使用できなかったので、フコースの転移によりルイスX構造が出来た後に、未知のガラクトース転移酵素によって当該の構造が生合成されると考えられた。
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Research Products
(1 results)