2004 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンB12酵素における触媒機能の制御機構の解明
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14580627
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
飛松 孝正 岡山大学, 工学部, 助教授 (30188768)
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Keywords | ビタミンB_<12> / 補酵素B_<12> / ラジカル酵素 / 酵素機能 / 部位特異的変異の導入 / 活性中心 / 触媒基 |
Research Abstract |
ジオールデヒドラターゼの触媒機能に重要であると示唆された活性中心残基Hisα143の酵素触媒反応における機能を詳細に解明する目的で,Hd143Aに加えて,Hα143E, Hα143K, Hα143L,およびHα143Qの変異型酵素を作製して酵素機能を解析した。 Hα143EとHα143Kは酵素(αβγ)_2複合体の形成能が失なわれていた。Hα143AとHα143Lの触媒定数k_<cat>が野生型酵素の1.6%および0.01%と大幅に低下したの対し,Hα143Qでは36%を保持していた。さらに,野生型酵素に見られた上に凸のpH依存性は消失し,Hα143Qの基質の1,2-プロパンジオールのR体,S体に対する基質の親和性(K_m)と触媒定数(k_<cat>)の値が野生型酵素の傾向と逆転していた。以上より,Hα143残基の基質との水素結合能が,そのプロトン供与性よりも,触媒活性に重要であることが明らかとなった。また,これらの変異型酵素には触媒反応中の速やかな酵素不活性化が認められた。特に,Hα143Aでは不活性化されるまでの触媒回転数が140と,野生型酵素の95,000から大きく低下していた。更に,[1,1-D_2]プロパンジオールを基質に用いて測定した触媒反応の同位体効果(KIE)がHα143Aで野生型酵素の10〜11から4.0に低下していた。一方,不活性化反応にはKIEが認められなかった。以上より,Hα143が正常な触媒反応の継続にも重要であることと,Hα143Aでは水酸基移動の活性化エネルギーが増加していることが示唆された。 また,補酵素の結合に関与する残基Sα224およびKβ135残基の部位特異的変異により,Sα224が酵素による補酵素の活性化と機構依存的不活性化反応の抑制に重要であり,Kβ135が補酵素の結合に重要であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)