2002 Fiscal Year Annual Research Report
腎炎惹起免疫グロブリンGの糖鎖構造異常に関する研究
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14580631
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中田 宗宏 東海大学, 工学部, 助教授 (00266371)
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Keywords | 糸球体腎炎 / 免疫グロブリンG / 糖鎖 / ガラクトシレーション / MRL / lprマウス / 自己免疫疾患 / クリオグロブリン / 糖タンパク質 |
Research Abstract |
免疫グロブリンG(IgG)の糖鎖構造異常は、ヒトやモデルマウスにおいて自己免疫疾患と深く関わっていると考えられている。しかし、IgGの糖鎖構造異常と疾患発症を関連づける直接的な確証はまだ得られていない。我々はこれまで、MRL/lprマウスに由来し糸球体腎炎を引き起こす病原性モノクローナルIgG3(6-19)より2種類のハイブリッドIgG3(6-19JおよびL8D)を作製し、これらのハイブリッドIgG3が、タンパク質部分の構造は同じであるにも関わらず腎病原性が異なっていることを示している。そこで本研究では、腎病原性を示すハイブリッドIgG3(L8D)と腎病原性を示さないハイブリッドIgG3(6-19J)の糖鎖構造を詳細に解析した。その結果、(1)病原性のあるL8Dは、病原性のない6-19Jと比較して、ガラクトースを含まない糖鎖が顕著に増加していることを明らかにした。また、L8Dは、6-19Jと比べて強いクリオグロブリン活性を有していた。そこで次に、6-19より遺伝子工学的に様々な変異IgG3を作製し、そのクリオグロブリン活性と糖鎖構造を比較検討した。その結果、(2)IgG3 6-19分子のCH2ドメインにある糖鎖のガラクトシレーションレベルがクリオグロブリン活性の発現に強く関与していることを明らかにした。一方、ヒトの糸球体腎炎については、その発症機序は未だ明らかでない。そこで本研究では、ヒト糸球体腎炎におけるIgG糖鎖の意義を明らかにするため、糖尿病性腎症、膜性腎症およびIgA腎症患者および健常人より血清中IgGを高純度に精製し、その糖鎖構造の決定を試みた。その結果、(3)糖尿病性腎症患者や膜性腎症患者のIgGから、健常人のIgGにはない糖鎖成分が検出された。本研究のこれまでの結果は、ヒトおよびモデルマウスの糸球体腎炎発症において糖鎖異常IgGが関与していることを示唆している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kuroki, A., et al.: "Level of galactosylation determines cryoglobulin activity of murine IgG3 rheumatoid factor"Blood. 99(8). 2922-2928 (2002)
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[Publications] Tang, W., et al.: "Association of histochemical expresssion of Maackia amurensis leukoagglutinin-positive glycoconjugates with behaviour of human gastric cancer"Histopathology. 42(3). 239-245 (2003)
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[Publications] Tang, W., et al.: "Histochemical appearance and prognostic significance of Maackia amurensis leukoagglutinin-positive glycoconjugates in human gastric cancer"Proceedings of the 37th Congress of the European Society for Surgical Research. 327-331 (2002)