2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580663
|
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
浅野 富子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 生化学部, 室長 (70100154)
|
Keywords | G蛋白質 / カスパーゼ / Rho / Akt / チロシンホスファターゼ / HeLa細胞 / 神経細胞新生 / Rac |
Research Abstract |
三量体G蛋白質による細胞骨格制御機構を明らかにすることを目的にし、HeLa細胞におけるGq/11が誘導する接着斑様構造形成のメカニズムを検討した。活性化型Gα11による接着斑様構造の形成は、カスパーゼによりRhoキナーゼ(ROCK-I)が切断されて活性化されたためであることが明らかになったので、Gαq/11によるカスパーゼの活性化機構を追求した。Bcl-2の過剰発現でROCK-1の切断が阻害されたのでミトコンドリア系細胞死シグナルの関与が示唆された。Aktの活性化型を発現してもカスパーゼの活性化が抑制された。インスリン刺激によりAktのリン酸化が増加するが、この増加はGq/11刺激で抑制された。Gq/11によるAktの活性化抑制についてさらに検討し、次の2つの経路の関与が明らかになった。ひとつは、インスリン受容体の基質、IRS-1のリン酸化のGq/11による減少で、チロシンホスファターゼの関与が示唆された。もうひとつはRhoを介する経路で、これにはRhoキナーゼの関与は認められなかった。2つの経路の阻害はどちらも部分的な効果しか示さないが、orthovanadateとRhoドミナントネガティブ体を同時に作用させると、Gq/11によるAktのリン酸化抑制およびROCK-Iの切断はほぼ完全に消失した。これらの結果は両経路が独立なものであること、Gq/11により同時に活性化されることを示している。 一方、脳の発達時には神経前駆細胞が増殖、移動、分化という過程を経て神経細胞新生が起きる。三量体G蛋白質のうち、Gi2が神経前駆細胞の多い部位に局在することを見つけているので、この分子種の神経細胞新生との関わりを検討した。まだ、予備的な実験結果であるが、Gi2を介して細胞増殖が促進されることを見いだした。さらに、細胞骨格や運動の制御についても、低分子量G蛋白質Racを活性化して細胞伸展や運動を促進していることを示す結果を得ている。
|
Research Products
(1 results)