2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580663
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
浅野 富子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 部長 (70100154)
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Keywords | G蛋白質 / エンドセリン / 神経発達 / 細胞接着 / カスパーゼ / Rho / Akt / チロシンホスファターゼ |
Research Abstract |
私達はこれまでに、Gi2が胎生期脳の脳室周辺に選択的に局在することを見いだし、神経前駆細胞の機能との関連を示唆した。胎仔の脳室に百日咳毒素(PTX)を注入すると、大脳皮質の細胞数およびBrdU陽性細胞数の有意な減少が見られた。これらの結果より、Gi2は神経前駆細胞の増殖を促進すると考えられた。ラット胎仔脳より分離した神経前駆細胞を用いて、どの受容体刺激で細胞増殖が起こるかを検討した。脳の発生初期に発現しているG蛋白質共役型受容体を刺激し、[^3H]チミジンの取り込みを測定すると、エンドセリン(ET)で有意な促進が見られ、培養皿をフィブロネクチン(FN)でコートしておくと、さらに強い取り込み促進が見られた。ETによる細胞増殖を検討すると、FN存在下でのみ有意に細胞数が増加した。下流の反応を検討すると、ERKのリン酸化がETにより顕著に増加した。ETによるERKのリン酸化はFNの有無に影響を受けなかったので接着とは無関係と考えられる。ETによるDNA合成、細胞増殖、ERKのリン酸化の促進はいずれも、細胞をPTXで前処理しておくと部分的に抑制されたことより、GiだけでなくPTX非感受性G蛋白質も関与していると考えられる。 HeLa細胞におけるGq/11が誘導するアポトーシスの分子機構について、昨年度チロシンホスファターゼが関与する経路でAktのリン酸化が阻害されるためであること、さらにRhoを介する経路もAktのリン酸化を抑制するためという2つの経路を考えた。しかし、今年度の研究で、Rhoの活性化はAktのリン酸化を制御することなく、アポトーシスを起こすという結果を得た。機構は不明であるが、Aktの活性型はRhoによるアポトーシスを抑制した。結論としてはGq/11はチロシンホスファターゼとRhoAをそれぞれ活性化し、2つの経路が相加的にアポトーシスを誘導する。
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