2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内カルシウム濃度の時空間変動パターン形成の分子機構の解析
Project/Area Number |
14580667
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
道川 貴章 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90282516)
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Keywords | イノシトール3リン酸 / カルシウムチャネル / システイン |
Research Abstract |
イノシトール3リン酸(IP_3)は、細胞外からの刺激により産生されるセカンドメッセンジャーであり、細胞内Ca2+貯蔵器官上に存在するIP_3受容体(IP_3R)・Ca^<2+>放出チャネルに結合し開口させることにより、細胞外刺激の種類や強度に応じた複雑なCa^<2+>濃度上昇を細胞質内に引き起こす。本研究ではIP_3Rの開口および活性制御の分子機構を解析し、以下の成果を得た。 1、タイプ1IP_3RのIP3結合部位であるアミノ酸224-604の領域の3次元構造を、X線構造解析により2.2Åの解像度で決定した。この結果、IP_3結合部位はN末端β-トレフォィル・ドメインとC末端のα-ヘリカル・ドメインから成る非対称的のブーメラン様の構造を取り、この領域内の11個のアミノ酸がIP_3の3つのリン酸基と直接結合することで特異的なリガンド認識が実現されていることが明らかとなった(Bosanac, I.,et al.,2002)。 2、IP_3R上のIP_3結合領域および膜貫通領域を除く領域にさまざまな欠失を加えた9種類の変異IP_3Rを解析することにより、アミノ酸1-223および651-1130の領域がIP_3結合によるチャネル開口に必須の領域であることを明らかにした。さらにシステイン残基をセリン残基に変異させた点変異受容体をを解析することにより、2613番目のシステインがチャネル開口に必須であることがわかった。これらの結果をもとにIP_3Rは5つの機能領域(N末端側カップリング領域、IP_3結合領域、中央カップリング領域、膜貫通領域、C末端側ゲートキーパー領域)から成るとする新たなモデルを提唱した(Uchida, K., et al.,印刷中)。
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[Publications] Bosanac, I.: "Structure of the inositol 1,4,5-trisphosphate receptor binding core in complex with IP_3"Nature. 420. 696-700 (2002)
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[Publications] Uchida, K.: "Critical regions for activation gating of inositol 1,4,5-trisphosphate receptor"J.Biol.Chem.. (印刷中).
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[Publications] 道川貴章: "感覚器官と脳内情報処理 第4章4-6人工脂質重膜"共立出版. 12 (2002)