2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580678
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Research Institution | Ninon University |
Principal Investigator |
茶圓 茂 日本大学, 文理学部, 助教授 (60142452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 晋策 創価大学, 工学部, 助教授 (40231732)
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Keywords | ミオシン / アクチン / FENN効果 / 筋収縮 / 1分子生理 / 光ピンセット |
Research Abstract |
平滑筋や、小腸微絨毛のミオシン・アクチン複合体にADPを加えるとミオシン軽鎖部位に構造変化が起こる。このADP結合にともなう構造変化はこれら非筋ミオシン・アクチン複合体に対するADPの親和性が非常に強いという事実から、ストレイン依存的にADPが遊離する機構を示すものと考えられる。本研究は、ADP遊離速度がクロスブリッジのストレインに依存するかどうかを1分子力学測定で明らかにすることである。平成14年度の研究において、1分子力学測定用実験装置を完成させ、ニワトリ小腸微絨毛ミオシンIの力発生測定に成功した。平成15年度の研究目標は、「微小変位振動を与え、非筋ミオシン1分子の力発生を解析する」ことである。この微小変位振動は、レーザービームの光路に平行平面ガラス基板をおき、これをガルバノスキャナーでサイン状に振ることで、光の屈折を変え、光ピンセット位置がサイン状に振れるようにして実現させた。そして、光ピンセットで捕捉したビーズが振幅数十nm、振動数は最大数十ヘルツまで任意に変えられることができた。この装置を使えば、アクチン・ミオシンの滑りと同じ方向に微小変位を与えるときには、ミオシンクロスブリッジに小さなストレインが、またその逆方向の変位のときには、大きなストレインをかけることができる。しかし、この微小変位振動実験にとりかかる前に、光ピンセット実験系で問題が生じた。それはビーズとアクチンを結合させるいわゆる「のり」のことである。従来、アビジン-ビオチン系を用いてビーズとアクチンを結合させていたが、その「のり」がいつも再現よく働かないことが判明した。そこでNEM-myosinを使うことに変更し、その1つ1つの過程を入念に検討し、ベストの方法を確立させた。この過程に長い時間を労したため、微小変位振動実験は現在進行中である。研究成果報告書を提出する時点までには結果を出す予定である。
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