2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオソーム表面におけるDNAの回転の転写制御への関与
Project/Area Number |
14580679
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小村 潤一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10215410)
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Keywords | クロマチン / ヌクレオソーム / 電離放射線 |
Research Abstract |
生きている高等真核細胞内の各ヌクレオソームの表面で、DNA二重螺旋のどの部位がヒストンに面しており、どの部位が溶液側に露出しているか(回転上の位相)を決定する方法を開発した。この方法の概要は、次のようなものである。培養細胞を氷上でX線照射(600Gy)し、細胞内の水分子からOHラジカルを発生させる。その後、直ちにゲノムDNAを抽出する。ヌクレオソーム存在部位では、ラジカルの発生源となる水分子がヒストンによりかなり排除されていること、および、蛋白質がラジカルを捕捉・吸収することから、ラジカル濃度が低くなる。結果的に、DNAが溶液側に露出している部分では、ラジカルの攻撃により切断されるが、ヒストンに面している部分では防護される。コントロールとして、精製した裸のDNAをX線照射したものを準備するが、この場合は、局所的な防護は起こらない。ゲノムDNAをligation-mediated PCR法で増幅し、特定遺伝子配列上に生じたDNA一本鎖切断の正確な位置と量を、最終的にシークエンスゲル上に強弱のバンドとして塩基配列レベルで表示する。もし、特定DNA配列のヌクレオソーム表面における回転上の位相が細胞集団内で同調している場合、細胞をIn vivo照射したサンプルにのみ、DNA螺旋の周期に対応した約10塩基ごとの切断パターンがあらわれるが、このことをヒト細胞のc-FOS、HPRT、RNU6各遺伝子上で確認した。
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