2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞のペキソファジー過程における自食作用関連遺伝子産物の解析
Project/Area Number |
14580693
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
横田 貞記 山梨大学, 医学部, 教授 (40020755)
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Keywords | 遺伝子 / 酵素 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 蛋白質 |
Research Abstract |
平成14年度は、主に、この研究に不可欠なApg遺伝子産物に対する特異抗体の作成を行った。以下の3種のペプチドの合成を外注し、入手した。1)マウスApg5のC-末15アミノ酸鎖、2)ヒトApg12のN-末15アミノ酸鎖、3)ラットApg8(LC3)のC-末15アミノ酸鎖。次に、これらのペプチド鎖をスクシニイミド化したカサガイ・ヘモシアニンに化学結合し、それぞれ2羽の家兎に免疫した。8週後採血して、ロイペプチンを注射後2時間のラット肝ホモジェネートを用いてウェスタンプロット法で解析した。抗Apg5抗体は30kDaと56kDaの位置に、抗Apg12抗体は26kDaと56kDaの位置に、抗LC3抗体は18kDaと16kDaの位置にシグナルを検出した。結果はこれまでに報告されているものと一致しており、作成された抗体がそれぞれのApg遺伝子産物と特異的に結合し、実験に使えることを示した。次に、Cos1細胞をアミノ酸欠乏培地にさらしたときのApg遺伝子産物の発現をウェスタンブロット法と蛍光抗体法で検討した。Apg5、Apg12、LC3ともに飢餓条件下で発現が誘導されていた。3-メチルアデニンで自食作用を阻止した細胞ではこれらのタンパクの誘導は抑えられた。蛍光抗体法では、飢餓条件にさらした細胞では細胞質にドット状の染色が観察された。時にリング状の染色も見られた。3-メチルアデニンで自食作用を阻止した細胞では、これらのドット状、リング状の染色見られなかった。次に、増殖ペルオキシソームの分解期あるラットの肝臓の切片を用いて、カタラーゼ(ペルオキシソームのマーカー)とLC3の局在を蛍光抗体法で検討した。これらのシグナルが重なることは殆んどなかった。結果は酵母で知られているペキソファジーが哺乳動物では起こらない可能性を示している。今後は、免疫電顕法でペキソファジーを検討する。
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