2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580694
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (60212312)
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Keywords | tRNA / intron / splicing / tRNA ligase / 核 / 核-細胞質間輸送 |
Research Abstract |
本計画は、tRNAのsplicingに関与するtRNA ligaseの細胞内局在と、tRNA前駆体の細胞内動態を明らかにすることを目的としている。本年度は、酵母tRN ligase(RlglP)の細胞内動態解析と前駆体tRNAの細胞内動態解析系の開発の2点を研究の中心とした。 ◆RlglPの細胞内局在を、特異抗体やタグ融合RlglP発現株を用いて検討した。蛍光抗体観察では、RlglP、タグ融合RlglPいずれも、主に細胞質に分布し、核からは排除される結果が得られた。細胞分画法でも、RlglPは可溶性画分に回収され、核などのオルガネラに強固に結合している可能性は少ないと考えられる。こうした結果は、tRNA endonucleaseがミトコンドリア上で機能すること、細胞質のポリソーム上で起こるHAC1 mRNAのsplicingにRlglPが関与することと良い一致を示す。さらに、RlglPの細胞内動態を、核外輸送因子CrmlPの変異株中で検討したが、少なくともCrmlP依存に核外輸送されることを示す結果は得られなかった。 ◆^3H-uracilを用いたパルスラベル-ハイブリダイゼーション沈降実験の条件検討を行つた。^3H-uracilの取り込み時間の関係上、高時間分解能の解析は困難だが、パルスラベルした全RNAから目的のtRNA分子種のみを沈降する条件が決定された。これをsplicing endonucleaseの変異株に応用したところ、制限温度下で蓄積したtRNA前駆体が、許容温度下に移すことで成熟体に移行することが分かった。我々は既に、sen2-41株は細胞質に前駆体tRNAを蓄積することを明らかにしており、in vivoにおいて前駆体tRNAが細胞質でsplicingされることを示す有力な証拠が得られた。 計画は順調に進行しており、一部は、2002年アメリカ細胞生物学会等で報告した。
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