2002 Fiscal Year Annual Research Report
フィラミンA架橋アクチン系細胞骨格の細胞内動態とその力学応答機能
Project/Area Number |
14580695
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 忠直 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90093187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 昌一 静岡大学, 理学部, 助教授 (70200665)
大橋 一世 千葉大学, 理学部, 教授 (90114248)
川端 和重 北海道大学, 理学研究科, 教授 (20261274)
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Keywords | アクチンフィラメント / フィラミン / アクチンゲル / 細胞骨格 / 細胞皮質 / 細胞の力学的性質 / 細胞運動 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
フィラミンAは、細胞皮質のアクチンフィラメントを架橋して当方的なアクチンゲルを形成し、細胞の力学的性質に大きな影響を及ぼすアクチン結合たんぱく質である。本年度は主に、フィラミンAの細胞内発現がノックアウトされた、ヒト腫瘍性メラノーマからクローニングされたM2細胞と、その発現を恒常的に回復させたA7細胞のフィラミンAの細胞内発現および力学的性質の違いを、蛍光抗体顕微鏡法および原子間力顕微鏡を用いて調べた。 フィラミンAのモノクローナル抗体を用いてフィラミンAの細胞内局在を調べたところ、A7細胞では、主に細胞質周辺の細胞皮質部位に発現しているのが確認されたが、M2細胞では、細胞質のどの部位においても発現は確認されなかった。また、細胞全体としての発現に関しても同様の結果がウエスタンブロット法により得られた。次に、原子間力顕微鏡を用いて両者の細胞の形状および細胞の堅さの違いをサブミクロンレベルで調べたところ、基質に撒いてから9時間までの細胞では、細胞の形状および細胞質周辺の細胞皮質の堅さにはいずれの細胞の間にも顕著な違いは見られず、ほとんどの細胞は基質面にあまり広がらずに丸く盛りあがり、細胞皮質の堅さも比較的やわらかく100kPa以下の細胞が大部分であった。一方、撒いてから40時間経過した細胞ではA7細胞の場合には基質面に紡錘状に広がった細胞が多く見られるようになる一方、M2細胞ではそのように広がった細胞は比較的少なかった。細胞皮質の堅さに関しては、M2細胞では撒いてから9時間までの細胞と顕著な差がなかったが、A7細胞では細胞皮質の堅さが100kPaを超える細胞が見られるようになった。これらの差異は細胞皮質内でのフィラミンAの発現の有無によると考えられる。
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Research Products
(1 results)