2003 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk_5)の新たな機能、長期増強における役割
Project/Area Number |
14580703
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久永 真市 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20181092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 太郎 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (70301413)
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Keywords | Cdk5 / p35 / プロテアソーム / リン酸化 / タンパク分解 / 長期増強 / グルタミン酸受容体 / シナプ |
Research Abstract |
Cdk5/p35は神経細胞で機能するサイクリン依存性キナーゼである。Cdk5活性が神経細胞でのみ見られるのは、活性化サブユニットp35が神経細胞特異的に発現しているからである。Cdk5またはp35のノックアウトマウスの解析から、脳形成期にはCdk5/p35は神経細胞の移動、位置決定、突起伸長などに関わっている事が示されている。一方、老化した脳ではアルツハイマー病との関連が示唆されている。ところが、成熟した神経細胞でどのような機能を果たしているのかは全く調べられていない。最近、我々はCdk5/p35活性がグルタミン酸刺激によってdown regulationされることを見つけた。その仕組みを解析したところ、グルタミン酸のNMDA受容体を介したp35のプロテアソームによる分解促進であることが示された。NMDA受容体は長期増強(LTP)の誘導を介して記憶形成に関与していると考えられている。本研究ではグルタミン酸処理によるCdk5不活性化の分子機構を解明するとともに、LTP誘導の関連について研究した。LTP誘導に伴いCdk5活性がdown regulationされることが推測される。即ち、通常はCdk5によってリン酸化されており、LTP誘導時に脱リン酸化される蛋白質があるはずである。プロテインフォスファターゼ1a(PP1a)の阻害因子であるinhibitor-1のリン酸化について検討し、海馬スライスでNMDA刺激をするとそのリン酸化が低下することを明らかにした。Inhibitor-1はシナプス後部のタンパクのリン酸化を調節し、記憶の消去に関与すると考えられている因子である。一方、シナプトソーム分画をラット脳から分離し、p35/Cdk5でリン酸化される蛋白を質量分析法で解析した。セプチン5が同定され、現在、このリン酸化を詳しく検討しているところである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Saito et al.: "Developmental regulation of the proteolysis of the p35 Cdk5 activator by phosphorylation."J.Neurosci,. 23. 1189-1197 (2003)
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[Publications] Takahashi et al.: "Tau phosphorylation by cyclin-dependent kinase 5/p39 during brain development reduces its affinity for microtubules."J.Biol.Chem.. 278. 10506-10515 (2003)
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[Publications] Kawachi et al.: "Different protofilament-dependence of the microtubule binding between MAP2 and MAP4."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 305. 72-78 (2003)
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[Publications] Honma et al.: "Apoptosis-associated tyrosine kinase (AATYK) is a Cdk5 activator p35 binding protein."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 310. 398-404 (2003)
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[Publications] Tomizawa et al.: "Cdk5/p35-dependent Phosphorylation of Amphiphysin I and Dynamin I : Critical Role in Clathrin-mediated Endocytosis of Synaptic Vesicles."J.Cell Biol.. 163. 813-824 (2003)
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[Publications] Hisanaga, S., Saito, T.: "The regulation of Cdk5 kinase activity through the metabolism of p35 or p39 Cdk5 activator."Neurosignals. 12. 221-229 (2003)
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[Publications] 久永真市: "Cdk5とアルツハイマー病"Dementia Japan. 8 (2003)