2003 Fiscal Year Annual Research Report
原索動物・ナメクジウオ類の初期発生メカニズムの解明
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14580715
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安井 金也 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (70191111)
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Keywords | ナメクジウオ / 脊索動物 / T-box遺伝子 / 鰭の発生 / 尾部形成 / 体形成 |
Research Abstract |
早期原腸胚由来のcDNAライブラリーおよびゲノムDNAライブラリーのスクリーニング、cDNA、ゲノムDNAライブラリー、スクリーニングと同じcNDAライブラリーを鋳型にしたPCR法により、T-box遺伝子の単離を試みた。スクリーニングの結果では、101個のクローンがT-box遺伝子由来であり、そのうち98個がTbr/eomes、1個がbrachyury2、2個が新しいT-box遺伝子、Tbx2/3/4/5であった。PCR法ではさらに、早期原腸胚由来のcDNAライブラリーからTbx2/3とTbx15/18/22の2個を確認した。したがって、初期原腸胚期に発現するT-box遺伝子を5個確認することができた。これらのうち、Tbr/eomesとTbx2/3/4/5について卵割期胚で発現を確認したが、Tbr/eomesのみで母性発現が確認された。VegTの対応すると考えられるTbx6/16とは今回単離された3個のT-box遺伝子がそれぞれに類似性を示すが、分岐図解析では、さらにもう1つ類似遺伝子が存在する可能性が示唆された。 新たに単離されたTbx2/3/4/5はTbx2グループの遺伝子と考えられるが、グループ内のもう1つの遺伝子Tbx2/3とは大きく異なり、その起源が問題である。いろいろな手段の検索にもかかわらず、Tbx4/5対応遺伝子を単離できなかったことから、我々はナメクジウオ類にはTbx4/5が存在せず、それに最も類似した遺伝子としてTbx2/3/4/5が存在していると考えている。Tbx2/3/4/5の発現は、早期原腸胚の背側を除く原口縁に出現して、原腸陥入とともに原腸の後方に広がる。その後、神経腸管周辺に限局して、それを覆う表皮で発現するようになる。表皮が肥厚して尾鰭を形成するようになると、発現はさらにそこに限局する。この発現パターンから、Tbx2/3/4/5はナメクジウオ類の唯一の鰭である尾鰭の分化に関係すると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shu, DG, Conway Morris, S, Han, J, Zhang, ZF, Yasui, K, Janvier, P, Chen, L, Zhang, XL, Liu, JN, Li, Y, Lin, HQ: "Head and backbone of the Early Cambrian vertebrate Haikouichthys"Nature. 421. 526-529 (2003)
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[Publications] Shu, DG, Conway Morris, S, Zhang, ZF, Liu, JN, Han, J, Chen, L, Zhang, XL, Yasui, K, Li, Y: "A new species of yunnanozoan with implications for deuterostome evolution"Science. 299. 1380-1384 (2003)
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[Publications] 安井 金也, 舒 徳干: "脊索動物か、脊索を持った動物たちか-古生物学と分子生物学の統合-"化石. (印刷中). (2004)