2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580719
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Research Institution | RIKEN (The Institute of Physical and Chemical Research) |
Principal Investigator |
大沢 匡毅 独立行政法人理化学研究所, 幹細胞研究グループ, 研究員 (10344029)
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Keywords | 色素細胞 / 幹細胞 / 遺伝子解析 / 幹細胞ニッチ |
Research Abstract |
1.色素幹細胞およびそのニッチを構成する細胞に特異的に発現する遺伝子の単離 色素細胞特異的にGFPを発現させたトランスジェニックマウスを作成し、色素幹細胞、分化した色素細胞、および、色素幹細胞の周囲に存在するニッチ様細胞を単離した。それぞれの単一の細胞からcDNAライブラリーを作成し、サブトラクションクローニング法により、色素幹細胞に強く発現する遺伝子またはニッチ様細胞に強く発現する遺伝子をそれぞれ濃縮した。これら濃縮したクローン約7000クローンをピックアップし、純化したDNAをナイロン膜に固定化し、マクロアレーを作成した。このマクロアレーを用いて、ディファレンシャルハイブリダイゼーション法により、幹細胞またはニッチ様細胞に特異的に発現するクローンを選別した。こうして選別したクローン全てについてシークエンス解析を行い、最終的に、約100種類の幹細胞特異的遺伝子と約150種類のニッチ様細胞特異的遺伝子を単離することに成功した。これらの中には、転写因子、レセプター、増殖因子など、幾つかの興味深い遺伝子が含まれており、現在、これらの遺伝子の幹細胞維持に関わる機能を調べている。 2.色素幹細胞の発生様式の観察と毛周期進展に伴う色素幹細胞の分裂様式の解明 幹細胞の発生の様式を明らかにする目的で、色素細胞にLacZレポーター遺伝子を発現するトランスジェニックを用いて、毛包発生過程における色素幹細胞の動態を観察した。胎児期に神経冠細胞から分化した色素前駆細胞は基底膜に接着しながら表皮を移動し毛包へと侵入し、毛包の伸長に伴い毛母基方向へ移行した。その後、生後2日目には、毛母基へ移行し分化した色素細胞とバルジ部位に留まる細胞とに分かれた。生後2〜5日の間にバルジ部位は生体の色素幹細胞と同じ表現型を示すようになり、色素前駆細胞から色素幹細胞への運命決定がこの時期に起こることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nishimura EK, Jordan SA, Oshima H, Yoshida H, Osawa M, et al.: "Dominant role of the niche in melanocyte stem cell fate determination."Nature. 416. 854-860 (2002)