2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580722
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小山 文隆 理化学研究所, 構造神経病理研究チーム, 研究員 (40194641)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 彰広 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (40251441)
|
Keywords | アルツハイマー病 / タウ / タウ欠損マウス / トランスクリプトーム解析 / Gem GTPase / 細胞伸長活性 |
Research Abstract |
近年単一遺伝子病の原因遺伝子が多数明らかになっている。神経難病においては早発型アルツハイマー病(AD)、ハンチントン舞踏病(HD)が代表的な単一遺伝子病として知られている。これら神経難病の原因遺伝子は分かつたもののその発症メカニズムの解明にはいたっていない。 現時点で明確なのは、原因遺伝子に変異を有する場合は必ず発症する、ということである。我々は神経難病発症メカニズム解明のため、分子遺伝学を基盤とし、以下の仮説をたてた。"原因遺伝子変異個体脳内における発現の量的質的変化をmRNAレベルで網羅的に把握できれば、変化を生じた遺伝子産物の役割、機能から発症メカニズムが推察可能となることが期待できる。" このような遺伝子発現解析をトランスクリプトーム(transcriptome)と呼ぶ。本年度はAD病変に関係しFTDP-17の原因遺伝子であるタウの欠損マウスを用いてトランスクリプトーム解析を行った。タウ欠損とともにGTP加水分解酵素のGem GTPaseが過剰発現することを見い出した。そこで、Gem GTPaseのタウ欠損マウスでの発現上昇の生物学的意義を培養細胞で調べた。タウを全く発現していないCHO細胞にGem GTPase過剰発現すると、CHO細胞の形態は劇的に変化し、細胞は細長い形態になった。タウを共に発現すると細胞の形態はもとに戻った。このことはタウがGem GTPaseの表現型を抑制していることを示す。Gem GTPaseの細胞伸長活性に対するタウの抑制活性の領域はタウの微小管結合部位に存在していた(Oyama et al.,2002 Annual Meeting of the American Society of Human Genetics Program Number 1735)。
|