2002 Fiscal Year Annual Research Report
リポ蛋白質をキャリヤーとするスフィンゴシン1-リン酸の神経機能制御
Project/Area Number |
14580736
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 幸市 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (00302498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
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Keywords | スフィンゴシン1-リン酸 / リゾフォスファチジン酸 / Edg / アストロ・グリア細胞 / bFGF / リポ蛋白質 / 神経細胞 / GTP結合蛋白質 |
Research Abstract |
本研究は、神経系細胞におけるリポ蛋白質作用のメディエーターとしてのスフィンゴシン1-リン酸(S1P)とその関連脂質(リゾホスファチジン酸(LPA))の役割、S1P関連脂質の供給経路としてリポ蛋白質の産生と連携したアストログリアに焦点をあて、その可能性を検討することを目的としている。平成14年度では、リポ蛋白質作用におけるS1Pおよび脂質メディエーターの関与の証明とそのシグナル伝達経路の解析を行った。 (1)ラット新生児アストロサイトやC6グリア細胞において、S1PがMAPキナーゼ(ERK)の活性化、Egr-1(転写因子)の発現を伴い、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の発現を引き起こす。このERK/bFGF系を指標にリポ蛋白質作用におけるS1Pおよび脂質メディエーターの関与を検討した。ヒト血漿から超遠心法により調製したリポ蛋白質を用い、S1P様の作用が発現するかどうかをERK活性化、Egr-1発現、bFGF発現を指標に解析した。これらの作用が実際にS1Pを介していることの証明実験として、リポ蛋白質を脂質画分、蛋白画分に分け、さらに、薄層クロマトグラフィーにより、S1P画分に活性があることを確認した。S1P受容体遺伝子を過剰発現させたC6細胞を作製し、リポ蛋白質によるERK活性化、Egr-1/bFGF発現作用にS1P受容体が関与しているかどうか判定した。(2)PC12神経細胞ではS1PやLPAがRho活性化を介して神経突起退縮応答を発現することを見いだしていたので、リポ蛋白作用が実際にRho活性化を引き起こすのかを検討した。また、酸化に伴い、リポ蛋白質中のS1P含量が減少し、一方でLPA含量が増加することが知られている。そこで、S1P、LPA受容体の脱感作実験を行い、酸化に伴う受容体依存性を調べ、これらの応答とリポ蛋白質中S1P、LPA量変化との関連を調べた。これらの結果から、リポ蛋白質による、速い神経突起退縮作用はリポ蛋白質に含まれるS1PまたはLPAが主要なメディエーターであり、Edg受容体/Rho/ROCK経路を介していること、また、リポ蛋白質の酸化状態の変化に伴い神経突起退縮応答をメディエートする脂質構成成分がS1PからLPA様物質に変化することが示唆された。
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Research Products
(1 results)