2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規神経栄養因子としてのHGFファミリー(HGF・HLP)の機能解析
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14580742
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
船越 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40273685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 敏一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00049397)
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Keywords | HGF / c-Met / 神経変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症(ALS) / パーキンソン病 / トランスジェニックマウス / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究では、私達が神経栄養活性をもつことを初めて明らかにしたHGFおよびHLPの神経系における機能解析を行った。また、HGF受容体(c-Met)のファミリー分子のスクリーニング過程でクローニングされt新規LIMキナーゼ蛋白質(LIMKinases)のノックアウトマウスを作成し、LIMK2の神経系における機能の一部を明らかとした。 (a)ALSにおける機能解析とその適用研究:HGFはこれまでの治療実験報告に比べ発症時期を遅延させ寿命を大幅に延長することを報告したが、durationに対する効果は不明であった。ALSを発症するモデルトランスジェニックマウス(ALS-Tg)と神経特異的HGF発現トランスジェニックマウス(HGF-Tg)を交配しダブルトランスジェニックマウスを作成することで、HGFのALSに対する機能解析を行った結果、発症から死亡までの時間(duration)決定に最も密接に関連するとされるactive caspase-9の運動ニューロンへの誘導をHGFが抑制できることが明らかとなった。今回の結果からHGFを発症後も効率良く発現させ続けられれば、durationをも延長し寿命をさらに延長できる可能性が示唆された。現在この効果についてはHGF蛋白質および長期HGF遺伝子発現ウイルスベクターを用いて解析中である。 (b)薬剤誘導性パーキンソン病におけるHGF/c-Metの解析:HGFおよびc-Metがパーキンソン病で重要な細胞群で発現制御を受けることを明らかとした。 (c)他の神経変性疾患に対するHGFの機能解析:神経変性疾患モデルマウスとHGF-Tgとのダブルトランスジェニックマウスの作成と、HGF蛋白質もしくはHGF発現ウイルスベクターを用いてHGFの機能解析およびその作用分子機構の解析を進めている。 (d)HGFとprostacyclin synthaseの遺伝子を導入することで糖尿病性neuropathyモデルにおける血管新生を促進し、neuropathyを改善すること、また、カナマイシンによる聴覚障害を抑制することを明らかとした。 (e)HLPの機能解析:HLPのグリア細胞における各種サイトカイン発現制御におよぼす効果をin vitroで解析した。その結果、HGFは従来報告した神経細胞に対する直接神経栄養作用や細胞遊送促進作用に加え、グリアにおけるサイトカイ発現調節を介し神経系のリモデリングに寄与すると示唆された。 (f)LIMKinase2 KO miceを作成し解析を進めた結果、LIMK2の内のLINK2bが神経系に主に存在し、細胞内でERに局在することで神経系に対するストレスに応答し神経細胞死を制御する機能をもつことを明らかとした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] H.Funakoshi, T.Nakamura: "Hepatocyte growth factor : from diagnosis to clinical applications"Clinica Chimica Acta. 327(1-2). 1-23 (2003)
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[Publications] S.Kato, H.Funakoshi et al.: "Expression of hepatocyte growth factor and c-Met in the anterior horn cells of the spinal cord in the patients with amyotrophic lateral sclerosis (ALS) : immunohistochemical studies on sporadic ALS and familial ALS with superoxide dismutase 1 gene mutation"Acta Neuropathol. 106(2). 112-120 (2003)
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[Publications] H.Takahashi, H.Funakoshi, T.Nakamura: "LIM-kinase as a regulator of actin dynamics in spermatogenesis"Cytogenic and Genome Research. (印刷中). (2004)
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[Publications] H.Koike, T.Nakamura et al.: "Enhanced angiogenesis and improvement of neuropathy by cotransfection of human hepatocyte growth factor and prostacyclin synthase gene"FASEB J.. 17(6). 779-781 (2003)
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[Publications] K.Oshima, T.Nakamura et al.: "Intrathecal injection of HVJ-E containing HGF gene to cerebrospinal fluid can prevent and ameliorate hearing impairment in rats"FASEB J.. 18(1). 212-214 (2003)
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[Publications] 中村 健二, 船越 洋, 中村 敏一: "神経再生因子としての肝細胞増殖因子(HGF)"脳の科学 増刊号(神経の再生). 25巻. 108-115 (2003)
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[Publications] 船越 洋, 中村 敏一: "ALSと神経栄養因子:HGFによる新しい神経栄養因子HGFによる新しい治療法開発の可能性"脳と神経. 55巻10号. 841-845 (2003)
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[Publications] 船越 洋, 中村 敏一: "神経再生因子としての肝細胞増殖因子(HGF)"脳の科学. 増刊号(神経の再生). 533-540 (2003)