2003 Fiscal Year Annual Research Report
大脳聴覚野における音順序学習のコリン作動性システム依存的メカニズム
Project/Area Number |
14580766
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
工藤 雅治 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80153310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90313551)
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Keywords | 聴覚野 / 音順序 / ムスカリン受容体 / コリン作動性システム / 弁別 / 学習 / シナプス増強 / ラット |
Research Abstract |
我々はこれまで音の順序の学習・記憶のメカニズムを明らかにするため、ラットの聴覚野スライス標本による研究をしてきた。聴覚野の二カ所を時間差をつけてテタヌス刺激すると、シナプス増強が刺激順序依存的に起こり、この順序依存性はムスカリン受容体に依存する。我々は順序依存的シナプス増強が音の順序学習の基礎となっていると仮説を立て、本研究では音順序弁別学習に聴覚野のムスカリン受容体、コリン作動性入力が関与するか検討し、以下の結果を得た。 1 ラットに二つの音の順序を弁別学習させるシステムを開発した。 2 ムスカリン受容体拮抗薬であるアトロピンの腹腔内投与により音順序弁別学習は抑制されたが、血液脳関門不透過性のメチルアトロピンは効果がなかった。一度上昇した順序弁別成績にはアトロピンの効果はなかった。これらより中枢のムスカリン受容体が音順序弁別学習の獲得過程に関与することが判った。 3 コリン作動性ニューロンに免疫毒性をもつ192IgG-saporinを聴覚野に投与すると、音順序弁別学習は抑制されたが、二音弁別には効果がなかった。 4 シナプス増強の順序依存性はリノピルジン(認知促進剤)をアトロピンと同時投与すると回復する。192IgG-saporinを聴覚野投与したラットにリノピルジンを投与すると順序弁別学習の成績は回復した。 これらより音順序弁別学習は聴覚野のコリン作動性入力、およびムスカリン受容体に依存していることが分かった。また、スライス実験と弁別実験の結果が良く対応していることから、聴覚野シナプス増強の順序依存性が音順序弁別学習のメカニズムとして働いていると考えられる。我々の弁別テストでは水を報酬としているが、最近、音順序弁別学習が聴覚野へのドーパミン入力にも依存することが分かった。聴覚野のコリン作動性入力とドーパミン入力の両者の働きにより音順序弁別学習が獲得されると考えられる。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Murakami et al.: "Short-term plasticity visualized with flavoprotein autofluorescence in the somatosensory cortex of anesthetized rats"Eur.J.Neurosci.. (In press).
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[Publications] Kitaura et al.: "Activity-dependent persisting modification of polysynaptic neural circuits involving layer V pyramidal neurons in rat auditory cortex in vitro"Eur.J.Neurosci.. 19・2. 356-364 (2004)
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[Publications] 工藤雅治: "聴覚の大脳生理"神経研究の進歩. 48・2(in press). (2004)
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[Publications] 工藤雅治, 他: "聴覚野音順序弁別におけるケミカルメディエータの機能"蛋白質 核酸 酵素. 49・3(Suppl). 367-372 (2004)
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[Publications] Seki K, et al.: "Polysynaptic slow depolarization and spiking activity elicited after induction of long-term potentiation in rat auditory cortex"Brain Res.. 988. 114-120 (2003)
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[Publications] Shibuki K, et al.: "Dynamic imaging of somatosensory cortical activity in the rat visualized by flayoprotein autofluorescence"J.Physiol.(Lond). 549・3. 919-927 (2003)
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[Publications] Ono K, et al.: "Relational discrimination learning between amplitude-modulated sounds in the rat"Neurosci.Lett.. 342. 171-174 (2003)
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[Publications] Hishida R, et al.: "Anis otropic functional connections between the auditory cortex and area 18a in rat cerebral slices"Neurosci.Res.. 46. 171-182 (2003)
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[Publications] Kudoh M, et al.: "Differential dependence of LTD on glutamate receptors in the auditory cortical synapses of cortical and thalamic inputs"J.Neurophysiol.. 88. 3167-3174 (2002)
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[Publications] 菱田竜一, 他: "聴覚野神経活動の内因性酸化還元蛍光によるイメージング"日本生理学雑誌. 64. 15-17 (2002)