2003 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴデンドロサイト前駆細胞の移動様式とその制御機構:ニューロン前駆細胞の移動制御機構との共通原理を求めて
Project/Area Number |
14580770
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
小野 勝彦 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (30152523)
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Keywords | ニワトリ胚 / マウス胎仔 / EGFP / 電気穿孔法 / netrin-1 / Olig1 / 2 / 背腹軸形成 / in situ hybridization |
Research Abstract |
ネトリン1は、軸索誘導分子として見出された分子であり、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞の移動にもガイダンス分子として作用する。さらに最近では、神経系以外を含めてさまざまな組織の形態形成を調節することが明らかとなってきた。本研究では、ネトリン1を欠損するマウスの脊髄を用いてOPCの移動と脊髄の細胞分化を調べ、OPCとニューロン前駆細胞との発生機構における共通性と細胞による特殊性の解析を試みた。 マウスではOPCは胎生12日目より出現することが報告されており、OPCのマーカーであるOlig1を用いた解祈でも、この時期から脊髄腹側部の脳室層に陽性細胞が出現する。ネトリン1欠損マウスでは、このOPCの出現する部位がやや腹側方向に変異していた。さらに、背腹軸マーカーの発現パターンから、背腹軸の腹側部全体の腹側方向への変異が明らかとなった。この変異は、運動ニューロンの形成の最終段階である胎生11日目より認められた。 背腹軸の変異が引き起こされるメカニズムを明らかにするため、(1)脊髄腹側部での細胞増殖の割合をBrdUのパルス標識で調べ、また(2)アポトーシスを起こしている細胞の割合をTUNEL染色とヘキストによる核染色で調べた。しかし、いずれもネトリン1欠損マウスと野生型/heterozygoteで違いは認められず、ネトリン1欠損マウスにおける背腹軸の腹側方向への変異に、細胞増殖・細胞死は関与していないものと思われる。以上の結果から、ネトリン1は脊髄腹側部全体の形成に関与し、その中でOPCの出現部位やその移動を調節しているものと思われる。今後は、(1)ソニックヘッジホツグの背腹軸形成作用へネトリン1がどのようにかかわっているか、(2)形成された腹側交連(軸索束)が背腹軸形成に何らかの影響を与える可能性はあるか、を中心に解析を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 小野勝彦: "オリゴデンドロサイト前駆細胞の移動とその制御機構"実験医学増刊号20「脳・神経研究のフロンティア」. 20・5. 744-749 (2002)
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[Publications] Yamamoto, 他: "Mice defecient in nervous system-specific carbohydrate epitope HNK-1 exhibit impaired synaptic plasticity and spatial learning."J Biol Chem. 277・30. 27227-27231 (2002)
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[Publications] Ohuchi, 他: "Fibroblast growth factor 10 is required for proper development of the mouse whiskers."Biochem Biophy Res Comm. 302・3. 562-567 (2003)
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[Publications] Nomoto, 他: "Molecular Cloning of a Novel Transmembrane Protein MOLT Expressed by Mature Oligodendrocytes"J.Biochem. 134・2. 231-238 (2003)