2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14580776
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岸 清 東邦大学, 医学部, 教授 (00014118)
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Keywords | ニオイ分子 / 反応特性 / 量子化学 / 電子供与性フロンティア電子密度 / ニオイ強度 / ニオイの性質 / 統計学的解析 / CAChe Work Program |
Research Abstract |
ニオイ分子のニオイ識別信号を解明するために、ニオイ分子の量子化学的反応特性と調香師によるニオイ強度判定との相関関係を統計的に解析した。ニオイ分子の電子供与性電子密度(electrophilic frontier density ; EFD)をCAChe Work System (Oxford)を用いて計算し、各分子の電子供与性反応部位と反応強度(EFD値)を求め、このEFD値と調香師のニオイの種類および強度判定との相関性を統計学的に解析した。Boelen and Heydel (1973)が報告した13種のカカオ香気分子と20種のビターアーモンド香気分子の合計33分子を解析し、共通の反応部位は最大EFD値を示す原子および二重結合を介して隣接する原子であり、両者の結合距離は1.401Åであった。この距離は先に解析した27種のラズベリー香気関連分子の反応部位の結合距離と同様であったので、カカオ香気分子、ビターアーモンド香気分子、ラズベリー香気分子、非ラズベリー香気分子のEFD値が調香師のニオイ判定と同じ判別結果となるのかを4群正準判別分析法で解析した。その結果、これらのEFD値は、カカオ香気13分子中13分子、ビターアーモンド香気20分子中17分子、ラズベリー香気8分子中7分子、非ラズベリー香気19分子中19分子を識別した(判別率93.3%、p<0.05)。また、Sturn (1974)が報告した異種構造で同一香気の20分子などを解析した。但し、先にAmerican J Agriculture & Food Chemistryに投稿したラズベリー香気関連分子の論文の元資料(Winter, 1961)が古いとの理由で掲載を拒否されて以降、いささか研究成果の公表に消極的になっている。また、ニオイ分子と調香師のニオイ判定との組み合わせが理解されないのではないかと考え、ヒスタミンH2受容体拮抗薬とその薬理作用との関係を解析し、両者に高度な相関関係を認めた。
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Research Products
(1 results)