2002 Fiscal Year Annual Research Report
感覚器ニューロンにおける電位依存性チャネルの機能解析と局在部位および構造の同定
Project/Area Number |
14580779
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
宮地 栄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90129685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 正之 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70209295)
大熊 真人 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (50329710)
河合 房夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20300725)
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Keywords | 感覚器 / 網膜 / 視細胞 / 双極細胞 / 電位依存性チャネル / イオンチャネル / h電流 / 嗅細胞 |
Research Abstract |
感覚器の受容細胞およびニューロンに存在する各種イオンチャネルの特性を解析することは、感覚器の機能を解明する上で極めて重要であり、本研究では神経生理学的および薬理学的手法と分子生物学的手法を用いて、ヒトを含む視覚系および嗅覚系の感覚受容器とニューロンのイオンチャネルを解析した。 網膜の視細胞と二次ニューロンでは、緩電位応答によるアナログ信号によって視覚情報が処理されると考えられているが、われわれは2001年にヒト網膜の杆体視細胞で電位依存性Na^+チャネルを発見した。本研究では、ヒト網膜の錐体視細胞と二次ニューロンである双極細胞においてもパッチクランプ法を用いて電位依存性Na^+電流を観察した。また、single-cell RT-PCR法により電位依存性Na^+チャネルの発現を確認した。本結果から、視細胞と二次ニューロンにおいてもNa^+スパイクによるデジタル処理がアナログ処理と同様に重要な意義を持つ可能性が示唆された。 細胞膜の過分極により活性化されるh電流は、同様の電流が心臓ではペースメーカ電位の発生に関与しており、また生体の様々なリズムの発生やその調節に関与している可能性が示唆されている。さらにh電流を抑制する抗不整脈薬は副作用でちらつき(flicker)を起こすことが報告されている。本研究ではパッチクランプ法を用いてヒト杆体視細胞においてh電流を観察し、hチャネルの特性を解析した。hチャネルのブロッカーであるCs^+の投与によって視細胞は過分極し、Na^+スパイクが自然発生した。本結果により、抗不整脈薬の副作用による眼のちらつきは、h電流の抑制によって生じることが明らかになった。 嗅覚系では、両生類と齧歯類の嗅細胞の電位依存性チャネルについてチャネルブロッカーを用いてパッチクランプ法により解析し、嗅覚の順応機構においてT型Ca2^<2+>チャネルが重要な役割を演じていることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kawai, F., Horiguchi M., Suzuki H., Miyachi, E.-I.: "Modulation by hyperpolarization-activated cationic currents of voltage responses in human rods"Brain Research. 943・1. 48-55 (2002)
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[Publications] Ohkuma, M., Kawai, F., Miyachi.E.-I.: "Direct suppression by odorants of ionotropic glutamate receptors in newt retinal neurons"Journal of Neural Transmission. 109・11. 1365-1371 (2002)
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[Publications] Hidaka, S., Kato, T., Miyachi, E.-I.: "Expression of gap junction connexin 36 in adult rat retinal ganglion cells"Journal of Interactive Neuroscience. 1・1. 1-21 (2002)
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[Publications] Ei-ichi Miyachi, Fusao Kawai: "Voltage-gated ion channels in human photoreceptors"Keio Journal of Medicine. 51・Suppl.1. 17 (2002)
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[Publications] Kaneda, M., Miyachi, E.-I.: "Retina : from element to function"Japanese Journal of Physiology. 52・(Suppl.). S10 (2002)
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[Publications] Kawai, F., Horiguchi, M., Miyachi.E.-I.: "An electrophysiological analysis of human rod photoreceptor with the patch-clamp recording"Japanese Journal of Physiology. 52・(Suppl.). S11 (2002)