2002 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法を用いた視覚による共同注意に関わる脳内過程の研究
Project/Area Number |
14580780
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Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
加藤 知佳子 豊橋創造大学, 経営情報学部, 助教授 (60214384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 敏晴 産業技術総合研究所, ライフエレクトロニクス研究ラボ, 主任研究員 (30344170)
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Keywords | 核磁気共鳴法 / fMRI / 脳機能計測 / 視覚 / 共同注意 / 視線 / 注意の転換 |
Research Abstract |
我々人間は、他者の目を見ると反射的にその視線の先を追い、他者と注意を共有する。これは、言語の獲得や他者とのコミュニケーションにおいて、非常に重要な機能であるとされる。反応時間の研究においては、目は反射的に注意の転換を促すことが検証されているが、その脳内基盤についてはまだよく知られていない。我々は核磁気共鳴法(fMRI)を用いた先の研究において、目や矢印などの注意の転換を促すシンボルを見ている際には、恣意的な方向指示シンボルを見ている際に比べて、左の運動前野および下頭頂葉が有意に賦活することを示した。これらは運動の準備や運動に関する注意に関わる部位であり、反射的な注意転換の脳内基盤である可能性が高い。 本研究においては、方向を示すシンボルとターゲットとの提示時間間隔をより短くして、目などの方向指示シンボル提示直後の注意転換に関わる脳内基盤を検討した。使用した方向指示シンボルは、目または矢印の2種類、シンボルとターゲットとの時間間隔は、500msecまたは100msecの2種類であり、実験は2x2の4条件で行われた。その結果、500msec目を提示する条件では、100msec目を提示する条件と比べて、左運動前野と頭頂間溝が有意に賦活した。500msec矢印を提示する条件との比較においては、この賦活は検出されなかった。一般に、注意転換を促すキューとターゲットとの時間間隔が長い方が反応時間は短くなる傾向にあり、運動前野と頭頂間溝などの運動関連部位は、注意を転換した結果の運動反応促進に対応する脳活動であることが示唆されたといえる。 なお、本研究の結果は、2003年6月に行われる9th International Conference on Functional Mapping of the Human Brain Mappingで発表することが決定している。
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Research Products
(1 results)