2004 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法を用いた視覚による共同注意に関わる脳内過程の研究
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14580780
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Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
加藤 知佳子 豊橋創造大学, 経営情報学部, 助教授 (60214384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 敏晴 産業技術総合研究所, ライフエレクトロニクス研究ラボ, 主任研究員 (30344170)
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Keywords | 核磁気共鳴機能画像 / fMRI / 脳機能計測 / 視覚 / 共同注意 / 指さし / 注意の転換 |
Research Abstract |
今年度は、共同注意を喚起する視覚刺激として「指さし」をとりあげ、他者の指さしに喚起される視覚的注意転換に関する脳内過程を核磁気共鳴機能画像法(fMRI)で検討した。方向指示シンボルとして、指さし記号(IDX)と矢印(ARW)の2種類、方向指示シンボルとターゲットとの時間間隔を100あるいは500msecの2種類として、計4種類の実験課題を実施した。 単なるターゲット検出をベースライン課題として、それとの比較によって脳活動を検出したところ、指さし記号の100msec後にターゲットを提示した課題(IDX100)においてのみ、顕著な脳活動が検出された。島の賦活は、IDX500課題との直接比較においても有意であった。被殻の賦活は、ARW100課題との直接比較においても有意であった。 被殻は、運動の準備と選択に関わる脳内部位として知られるが、矢印との比較でこの部位の脳活動が検出されたことによって、矢印と指さし記号とでは同じように視覚的注意転換を引き起こすとしても、それを支える脳内過程が異なる可能性が示唆された。 この3年間の研究によって、視線や指さし等の、対人的コミュニケーションにおいて他者と注意を共有する際に用いられる視覚刺激は、矢印やその他の人工的視覚刺激(シンボル)とは、異なる脳内活動を引き起こす可能性が示された。人間の注意を喚起するために用いられるシンボルは、公共の掲示物において多用される。また、機械やインータネットの操作手順を示すシンボルとして、即座に注意を喚起し、適切な運動を誘導する刺激として用いられる。生態学的妥当性を有する視線や指さしなどと、矢印等の人工的視覚刺激との間で、その脳内情報処理過程が異なるとすると、それぞれの場面において、適した記号が異なってくる可能性があるだろう。高齢者や障害者にとってもわかりやすいシンボル使用を考えるうえでも、本研究の成果は参考になると思われる。
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Research Products
(3 results)