2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14580783
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
蔵田 潔 弘前大学, 医学部, 教授 (30170070)
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Keywords | 大脳皮質 / 小脳 / 視床 / 神経回路 / 機能連関 / ニューロン活動 / 到達運動 / 座標変換 |
Research Abstract |
ヒトやサルが行う上肢による到達運動では、視覚座標から運動座標への変換が起こっていると考えられる。さらに、シフトプリズムを装着することにより視覚空間座標と運動座標との間に解離が生じても、10-20回の試行で正確に目標に到達することができ、プリズムの着脱毎に極めて高い再現性のあることが確認されている。これらの座標変換系と運動学習に小脳とその主要な出力先である運動前野腹側部が重要な役割をはたしていると考えられる。そこで、本年度の研究ではまず、この目標点への手到達運動とそのプリズム適応中に、運動前野腹側部および一次運動野で複数の単一ニューロン活動を同時記録するとともに、これらの領域と小脳の両方に強い結合を有する視床VPLo核およびX領域近辺において単一ニューロン活動を記録し、これら領域間の神経ネットワークの役割を検討した。運動前野腹側部と一次運動野の両方で運動関連ニューロンが記録された。運動前野腹側部では運動関連ニューロンでありながら視覚座標系を反映するニューロンが多数記録されたが、一次運動野ではそのようなニューロンはほとんど記録されず、運動座標系を反映するものが多数であった。さらに視覚座標系と運動座標系を反映すると考えられる視床ニューロンの出力先はそれぞれ運動前野腹側部と一次運動野であった。このことは小脳大脳連関がいくつかのループを形成し、それぞれが到達運動における別々の機能特異性を有していることを示唆する。平成15年度の研究ではプリズム適応中のこれら機能連関の役割分担について詳しく解析する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kurata, K., Hoshi, E.: "Movement-related neuronal activity reflecting the transformation of coordinates in the ventral premotor cortex of monkeys"Journal of Neurophysiology. 88. 3118-3132 (2002)
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[Publications] Kurata, K.: "Dynamic information processing between cortical neurons during prism adaptation"Neurosci. Res.. 25Suppl.(in the press). (2002)
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[Publications] 蔵田 潔: "脳・神経科学入門講座(下)"渡辺雅彦編著 羊土社. 262 (2002)