2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外K^+濃度及び空間量との同時計測による内因性光応答の発生機序の解析
Project/Area Number |
14580787
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
浅井 竜哉 福井大学, 工学部, 講師 (60291374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村瀬 一之 福井大学, 工学部, 教授 (40174289)
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Keywords | 細胞の膨張 / 細胞外空間量 / カリウムイオン濃度 / 光計測 / 脊髄切片 / 感覚伝達 |
Research Abstract |
神経興奮により中枢の細胞が膨張(あるいは細胞外空間量が減少)することは以前から知られてきた。細胞組織の膨張は無染色切片では、内因性光応答と呼ばれる光散乱の変化として表れると考えられる。これまでの報告や我々の電気刺激(20HZ、1秒間)を用いた結果より、furosemide感受性のcation-chlorideトランスポーターが内因性光応答の発生に関与していることが分かっている。 まず今年度は、内因性光応答を測定する新しい実験装置として、冷却型デジタルCCDカメラの購入とシステムの立ち上げを行った。 トランスポーターには、Na-K-2ClとK-Cl、さらに後者には4つのタイプがあることが知られており、今年度はおもにその生物物理的特性を調べてタイプの同定を行った。実験では潅流液のK^+濃度を変化させ、その時に発生する内因性光応答を記録した。得られた結果は以下の通りである。 1.内因性光応答は、2mM以下のわずかなK^+濃度の増加によって発生し、その大きさは増加させるK^+濃度に依存した。K^+濃度の低下は、逆向きの光応答を起こした。また、内因性光応答は、Na^+チャネル阻害薬tetrodotoxinの存在下でもみられた。 2.トランスポーターを阻害する条件(furosemide投与や低Cl^-溶液潅流)では、内因性光応答は抑制された。 3.低Cl^-溶液の潅流は、逆向きの内因性光応答を起こした。 4.低Na^+溶液を潅流した条件下では、内因性光応答はあまり影響がなかった。 以上の得られた生物物理的特性より、脊髄後角においてはK-Clトランスポーターがおもに内因性光応答の発生、すなわち神経興奮に伴う細胞の膨張に関与しており、さらに神経細胞に特異的に発現しているKCC2の可能性が示唆された
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