2002 Fiscal Year Annual Research Report
発達期視覚野の可塑性と皮質ニューロンの形態学的変化
Project/Area Number |
14580789
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
畠 義郎 鳥取大学, 医学部, 教授 (40212146)
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Keywords | 一次視覚野 / 眼優位コラム / 視覚遮断 / 生後発達 / 可塑性 / ネコ |
Research Abstract |
哺乳類大脳皮質一次視覚野の片眼遮蔽による可塑的変化は発達脳の可塑性のモデルとして数多くの研究がなされているが、これまでの研究においては、視床から視覚野への入力線維の可塑性が主に注目されてきた。この入力線維は視覚野の第IV層に投射して眼優位コラムを形成し、片眼視覚遮断により、このコラム構造や視覚野ニューロンの光反応性は顕著な可塑的変化を示す。しかし最近の研究により、光反応性の可塑性は視覚情報が入力する第IV層よりも、それ以外の層でより早く進行することが報告されている。このことは、可塑性発現の初期段階においては、視床-視覚野間の神経投射でなく、皮質内神経結合が重要な役割を果たしている可能性を示す。そこで、この可塑性の初期過程において、皮質神経回路網が形態的変化を示すかどうかを明らかにするため、可塑的変化がとりわけ早く観察される第III層において、その主たる入力である第IV層からの神経投射がその密度や分布を変化させるかどうかを検討する。 光学計測法により眼優位コラムを確認し、両眼コラムの境界領域の第III層に逆行性トレーサを注入することで、その部位に投射する第IV層ニューロンの分布を調べる。その後、片眼視覚遮断を行い、さらに1回目のトレーサ注入と同じ部位に異なった逆行性トレーサを注入する。2種類のトレーサにより標識されたIV層ニューロンの分布を比較し、その分布を光学計測法で得られた眼優位コラムのパターンと重ね合わせることで、それぞれの眼からの情報を運ぶ投射がどのように変化したかを明らかにする。今年度の研究により、片眼遮蔽前後に複数のトレーサを繰り返し注入する、また標識されたニューロンの位置を機能的なコラム構造と重ね合わせるなどの、研究遂行に必須の手法について、技術的な問題点を洗い出し、解決することができた。すでに一部得られつつあるデータの解析を進めるとともに、来年度、さらに実験を重ねることで、目的とする成果を得られるものと考える。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Jiang et al.: "Long-tenn depression is not induced by low frequency stimulation in rat visual cortex in vivo: A possible preventing role of endogenous BDNF"Journal of Neuroscience. (in press).
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[Publications] Yasuda et al.: "Imaging of calcineurin activated by long-term depression-inducing synaptic inputs in living neurons of rat visual cortex"European Journal of Neuroscience. (in press).
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[Publications] Ichisaka et al.: "Activity-dependent change in the protein level of brain-derived neurotrophic factor but no change in other neurotrophins in the visual cortex of young and adult ferrets"Neuroscience. 117. 361-371 (2003)
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[Publications] Ohshima et al.: "Chronic, electrical stimulation of afferents from one eye changes ocular dominance of visual cortical neurons in kittens"Journal of Neurophysiology. 88. 2147-2151 (2002)