2003 Fiscal Year Annual Research Report
交流電場を用いた単一細胞操作と誘電スペクトロスコピー
Project/Area Number |
14580817
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
浅見 耕司 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90127936)
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Keywords | 単一細胞操作 / 交流電場 / 誘電スペクトロスコピー / 誘電緩和 / 界面分極 / 細胞構造 / 細胞分別 / 細胞破壊 |
Research Abstract |
細胞のミクロ操作技術の開発は、細胞を用いた解析や検査のミクロ化に重要である。このため、細胞を動かす技術として、交流電場を用いた方法に着目した。これは、交流電場下で細胞が分極し、この誘起した双極子と電場との相互作用を利用するものである。この研究では、交流電場を用いた細胞操作の可能性の検討と技術の開発を行った。 細胞や粒子の誘電的性質の周波数依存性や、不均質電場や回転電場下で粒子が受ける力やトルクを計算するプログラムを開発して、交流電場下の細胞挙動のシミュレーションを行った。任意形状の細胞を扱うことのできる境界要素法を応用した数値計算法を用いて、赤血球や出芽酵母細胞の誘電緩和スペクトルのシミュレーションを行った。また、差分法を用いた電場計算用のプログラムをつくり、様々な電極配置での電場計算を行った。 細胞の動きを解析するために、顕微鏡にCCDカメラを取り付け、画像をデジタルデーターとして取り込みができるようにした。このデーターはコンピュータを用いて解析を行うことができる。電極への交流電圧の供給をマルチプレクサーでスイッチングすることによって、細胞の保持、移動の操作を容易にした。単一細胞の誘電測定については、三端子法を採用して、電極端での漏れ電流による誤差を取り除く工夫をした。 細胞内物質を抽出するために、高電圧パルスを用いて細胞膜を破壊する条件の検討を行った。また、赤血球を用いた実験では細胞の融合が起こり、巨大球形赤血球が現れるのを観測した。これは直径が100μm近くあり、単一細胞測定系のテストに都合がよい。 この研究で検討した交流電場による細胞操作の技術はまだ実用化には至ってないが、最近の微細加工技術を応用することによって、将来可能になると考えている。
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