2002 Fiscal Year Annual Research Report
動脈瘤の血管内治療用器具としてのステントの最適設計に関する研究
Project/Area Number |
14580838
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
板東 潔 関西大学, 工学部, 教授 (70156545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田地川 勉 関西大学, 工学部, 助手 (80351500)
桜井 篤 関西大学, 工学部, 専任講師 (50162334)
大場 謙吉 関西大学, 工学部, 教授 (30029186)
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Keywords | ステント / 動脈瘤 / 最適設計 / 数値流体力学 / 拍動流 / インターベンション / 有限要素法 / ずり速度 |
Research Abstract |
動脈瘤の治療のために用いられるステントの最適設計のために,設計の評価基準を求めるための数値シミュレーションを行った。ステントを用いて動脈瘤を治療することができる原理は,ステントという流体力学的障害物を瘤首下に挿入することにより,瘤内の流れを停滞化させて瘤内壁に血栓を生じさせ,瘤内全体を血栓化して瘤の成長と破裂を防ぐことにある。ステントの形状としては,モデル化が容易なトーラス列のステントを用いた。このステントを瘤首下の親動脈内に内挿した場合に対する三次元の拍動流れの数値シミュレーションを行った。計算では嚢状の脳動脈瘤を対象とし,親動脈の断面内平均流速に対する最大レイノルズ数を250,ウォマスリー数を2.7に選んだ。なお,動脈壁および動脈瘤壁は剛体とし,ステントは内挿位置からの移動はないものと仮定した。格子生成ソフトとしてGAMBIT,流れ解析ソフトとしてFIDAPを用いた。計算結果を解析することにより以下の結果が得られた。(1)瘤内の流れが最大となる時刻付近では,その流れは瘤首内上流側から瘤に流入し,瘤壁に沿って流れた後,瘤首内下流側から親動脈に流出する。(2)瘤内の圧力はほぼ様化されるが,その圧力は,動脈瘤内上流側と下流側の平均的圧力で時間的に変動する。(3)瘤内の流れの駆動源は,瘤首内上流側と下流側の圧力差,及び親動脈の境界層内の流れがトーラスに衝突して減速した後,その向きを軸方向から半径方向に変えて瘤内に流入する運動エネルギーである。(4)壁面上の歪み速度を用いると血栓形成の判定が可能であり,モデル動脈瘤に本ステントを用いることにより瘤内に血栓の形成が予測できた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 板東潔, Berger, S.A.: "ステントが内挿された動脈瘤付き血管内の拍動流の数値シミュレーション"日本機械学会第14回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. No.02-04. 31-32 (2002)
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[Publications] 堂園明寛, 板東潔, 大場謙吉: "座屈・大変形したコラプシブルチューブ内の流れの数値シミュレーション"日本機械学会2002年度年次大会講演論文集. Vol.I. 85-86 (2002)
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[Publications] Bando, K.: "Research on Fluid-Dynamic Optimization of Stent Used for Treatment of Aneurysms by Means of Computational Simulation"Abstracts of Russia-Japan International Workshop on Actual Problems of Computational Mechanics. 1-2 (2002)
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[Publications] 板東潔, Berger, S.A.: "動脈りゅう治療用のステント周りの拍動流に関する数値シミュレーション(トーラス列モデルのステントの場合)"日本機械学会論文集(B編). 68巻676号. 3288-3294 (2002)