2002 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症による大腿骨頸部骨折の発生機序と骨固定インプラントの開発
Project/Area Number |
14580839
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
速水 尚 近畿大学, 工学部, 助教授 (20173057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝志 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10201675)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 大腿骨頚部骨折 / マイクロCT / 骨梁構造 / 構造脆弱性 / バイオメカニックス |
Research Abstract |
本研究では,大腿骨近位端の海綿骨について骨粗鬆症による易骨折性の発現機構を構造工学的視点から検討するための方法を開発する.また,この方法によって得られた解析結果を基にして,骨粗鬆性骨折でも長期に安定して骨折部を固定することができる骨折部固定システムを開発することを目的としている. 海綿骨の力学的挙動は骨梁各々が連結して構築する骨梁構造の形態に強く依存している.骨粗鬆症は骨量を減少させる疾患であるが,骨梁構造を均一に減少させるわけではなく,局部的に骨量の連結を切ったり,骨量に空孔を作製したりするなど単なる材料の減少によって骨強度を低下させる疾患では無いところに大きな問題がある.すなわち,目立った骨量減少が認められなくても易骨折性を発現する場合があり,骨折予防のための骨折危険度を予測しにくいのが現状である. 本年度の研究で,従来2次元的に検討されてきた骨梁構造形態をμCT装置で3次元的に検討するだけでなく,μCTを測定しながら骨に変形を与えて,その動態を観察する方法を完成させた.また,実際にヒト骨粗鬆海綿骨と正常海綿骨を用いて両者の動態の違いを比較的に検討した.この様な検討は世界的にもほとんど例を見ない.結果として,骨形態計測パラメータの内,骨梁の3次元的な連結性が骨梁構造の剛性と最も深い関係にあることが示唆された.また,同じ骨梁構造(同試験片)であっても荷重の作用方向が異なれば変形動態が異なり,結果として骨強度や破壊機転が大きく異なることがわかった.これらの結果を一般化するには,実験数を増やして統計的な検討を要するので,来年度に実験数の増加を図る.また,今後コンピュータ内に構築した3次元骨梁構造を用いて,骨固定ねじのねじ部との固定具合をシミュレーションによって検索して,骨梁構造を鑑みた最適なねじ刺入方向とねじ山形状を検索していく.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 速水尚: "マイクロCTによる骨粗鬆化骨梁構造のせん断破壊挙動の評価"日本臨床バイオメカニクス学会誌. 23. 113-118 (2002)
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[Publications] T.Hayami: "Structural fragility mechanism in human osteoporotic trabecular bone"ACTA of Bioengineering and Biomechanics, Proceedings of the 13th conference of ESB. Vol.4 Suppl1. 744-745 (2002)