2002 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体をバインダーとする新規修飾電極の作成と評価
Project/Area Number |
14592001
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中村 暢文 東京農工大学, 工学部, 講師 (60313293)
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Keywords | 修飾電極 / ルテニウム錯体 / キノン / 自己組織化 / 電気化学 / 電子移動反応 / メディエーター / 電極表面 |
Research Abstract |
本研究では、人工系で電子のスムースな移動を制御できる化合物を合成し、これらの化合物を電極上に集積させることを目的としている。我々はこれまでに、酸化還元する化合物として、フェナントロリンキノン(dpq)を有する錯体、dpq銅錯体、dpqルテニウム錯体の合成をおこなってきた。今回、新たにキレート効果によってより安定な錯体の形成が可能であると思われるチオール基を有する配位子(bpy-SH)を合成し、さらに、この配位子とフェナントロリンキノン(dpq)を有するルテニウム錯体を合成し、その電気化学的性質についての知見を得た。また、この錯体の金電極への固定化をおこない、新規メディエーター修飾電極を作製した。 ルテニウム錯体[Ru(dpq)(bpy)(bpy-SH)](ClO_4)_<2,>、(1)の金電極を作用極としたCV測定では、dpq由来の酸化還元応答(E_<2,1/2>=-107mV(vs, Ag))のほかに、吸着によると思われる複数の電極応答が観察された。Ru錯体(1)を溶解させたアセトニトリル溶液中に金電極を浸漬させて錯体の固定化をおこなったところ、(1)の吸着種による電気化学的応答を得た。また、[Ru(dpq)(bpy)Cl_2]を溶解させたアセトニトリル溶液中で、リガンドのみのbpy-SHを先に修飾した金電極を浸漬し、還流することによって錯体の固定をおこない、ルテニウム錯体の吸着種による電気化学的応答を得た。電流値の掃引速度依存性を検討すると、キノン/セミキノンによる応答と考えられるピーク(i_<pc>)において、電流値の対数は掃引速度の対数に比例し、傾きは1であった。このことから、吸着種による応答であることが確認された。今後は、本研究で作成した修飾電極を用いて、電極表面の評価を行なっていく予定である。
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