2002 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー概念を分析道具とした国際化社会における家族と暴力の「日中英」比較研究
Project/Area Number |
14594003
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
南方 暁 新潟大学, 法学部, 教授 (70125805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
何 燕侠 新潟大学, 法学部, 日本学術振興会外国人特別研究員
葛西 康徳 新潟大学, 法学部, 教授 (80114437)
國谷 知史 新潟大学, 法学部, 教授 (90234468)
岡 綾子 新潟大学, 法学部, 助手 (50203956)
田巻 帝子 新潟大学, 法学部, 助手 (80251784)
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Keywords | 家族 / ドメスティック・ヴァイオレンス / 日本 / 中国 / 英国 / ジェンダー / 他文化社会 / 法的救済 |
Research Abstract |
(1)2002年度は、4月より家族に関する研究会を定期的にもち、家族をめぐる紛争を検討する上での視点を共有する作業を行った。 (2)研究会の内訳は、(1)何燕侠「中国家族法改正の改正について-離婚における損害賠償制度の導入を中心に-」、(2)國谷知史「中国婚姻法における夫婦財産制の改正について」、(3)南方暁「現行家事調停制度の守備範囲」、(4)田巻帝子「現代日本における性同一性障害」、(5)王愛群「中国損害賠償法に関する一考察-生命侵害を中心に-」、(6)足立祐子「外国人定住家族におけるコミュニケーション問題」である。 (3)現在中国で進められている婚姻法の改正問題をめぐって、ジェンダー・バイヤスなどの原理的問題や、婚姻生活における暴力への救済手続きの不備などが指摘された。また、中国では精神的損害賠償をめぐり十分な保障がないため、婚姻生活で暴力事件が生じた場合など、離婚時に金銭的救済が適切に行われない実情が指摘された。 (4)日本における家族構成員間の暴力に対して、紛争処理手続きの一つである家事調停は、実務上で慎重な対応をしてきているが、家族における著しい暴力だけでなく暴力一般に対する適切な対応がなかなかしにくい実態にあることが指摘された。 (5)家族における暴力は、異文化のもとで生活する家族にしばしば見られるが、日本に在住する外国人の中には、暴力事件があっても救済を求める手段を知らないために窮地のサイクルに落ち込む者がおり、現行制度のもとでは十分な救済を受けられない実態が報告された。 (6)英国における家族の変化と暴力については、3月に実態調査がなされた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 何燕侠: "中国における労働とジェンダー"環日本海研究年報. 10号. 72-88 (2003)
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[Publications] 田巻帝子: "英国エイルズベリにおける修復的警告-Degrading(人格否定の烙印付け)からReintegrative Shaming(社会への再統合のためのシェイミング)儀式へ"法政理論. 35巻1号. 180-221 (2002)
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[Publications] 小池上綾子他: "(訳)甘超英「中国における官側人権発展の20年-中国人権観の研究"法政理論. 35巻2号. 86-126 (2002)
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[Publications] 南方暁: "A Brief Sketch on Equality of the Sexes and division of Matrimonial Property at Divorce-Revision of the Family Law since 1945"法政理論. 35巻2号. 127-148 (2002)
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[Publications] 田巻帝子, 南方暁: "Family Law in Japan During 2000"Bainham A.(ed.) The International Survey of Family Law 2002 edition. 221-228 (2002)