2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦争の記憶に基づく日本イメージ形成:ジェンダー変数による分析
Project/Area Number |
14594008
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中尾 知代 岡山大学, 文学部, 助教授 (40207717)
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Keywords | 戦争 / 記憶 / トラウマ / オーラル・ヒストリー / 捕虜 / PTSD / 表象 / 日本イメージ |
Research Abstract |
1.現在生存する日本軍に抑留された元連合軍捕虜およびその家族(妻・未亡人・娘・息子)に対するオーラル・ヒストリー調査の手法を用いて戦争の記憶・体験・記憶の記録・分析である。意義は、(1)当事者が世を去る前に、かれらの体験および記憶を記録(2)元兵士の周囲にいる女性たちの声を記録(3)それらの言説に内包される、日本人に対する意識やイメージの、ジェンダーの観点からの分析である。必要条件として、(1)オーラル・ヒストリー(口述)の方法論、理論の精緻化と、口述記録の信葱性および言説分析を確定(2)口述内容と史実の実証性の関係性の学術的な検討(3)記録公開・アーカイブ化の方法と倫理的諸問題の研究を行った。 2.フィールドワークとして、イングランド・スコットランド・ウェールズの元捕虜と周囲の未亡人や娘・、コヴェントリービルマ在郷軍人会の聴き取り、シンガポール・タイメン鉄道の慰霊旅行に同行し調査を行った。比較対象として、高野山・岡山・四国・東京他における日本ビルマ戦線元兵士の戦友会や慰霊祭・捕虜扱い関係者(タイメン鉄道・捕虜収容所・日本人抑留者・BC級法務死者)の会合の参与観察および兵士・遺族・従軍看護婦の聴き取りを実施。上記の口述資料の確定や比較を目的として傍証と映像資料・公文書・私文書との確認のため、英国ナショナル・アーカイブ(公文書館)、帝国戦争博物館、防衛庁の資料の調査を実施した。 3.海外共同研究者とは、英国図書館ライフストーリーコレクション主幹ロバート・パークス、オーラル・ヒストリー学会創始者ポール・トムプソン口述に関する方法論の意義を検討する機会を設けた。歴史学研究会・東京の史資料ハブ・御茶ノ水ジェンダースタディにおいても成果を検討するとともに、アーカイブ化アジア関係図書の司書ジル・ゴダードと検討。以上の成果は、今後、当事者の許可の範囲で公開。解析内容は論文・著作として発表・出版する。
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Research Products
(1 results)