2003 Fiscal Year Annual Research Report
パフォーマンス・アートとジェンダーに関する理論的研究
Project/Area Number |
14594025
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
池内 靖子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (80121606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 暎惠 大妻女子大学, 人間関係学部, 助教授 (10207326)
レベッカ ジェニスン 京都精華大学, 人文学部, 教授 (30141485)
李 静和 成蹊大学, 法学部, 教授 (90286899)
北原 恵 甲南大学, 文学部・社会学科, 助教授 (30340904)
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Keywords | シアター / パフォーマンス・アート / ポストコロニアル / ディアスポラ / ジェンダー / 表象 / 展覧会 / マルチカルチュラリズム / トランスナショナル |
Research Abstract |
本研究は、パフォーマンス・アートとジェンダーについて理論的に考察するものであるが、同時に、現代アジアの女性アーティストの芸術表現活動についての調査を行うことにしている。とりわけ、ポストコロニアルな状況における表象の政治学を問い、帝国主義や植民地主義の歴史、難民、移民、亡命者たちの経験、現在も新たに進行しているディアスポラ(離散)の人々の抵抗と表現について掘り下げてきた。以下は、本年度に行った共同研究と調査の実績である。 (1)ロンドンへの留学から帰国し、本研究グループに復帰した李静和を迎え、5月初めに全員京都に集合し、本年度の研究計画実施について打ち合わせの会議を行った。(2)9月初め、コリアン・アメリカンのアーティスト、テレサ・ハッキョン・チャの展覧会『観客の夢』と関連シンポジウムが韓国サムジ・スペースで開かれ、研究代表者(報告者)と研究分担者鄭暎惠(コメンテーター)が招待され、他のメンバーも全員が参加した。他に、アーティストの嶋田美子も参加して、サムジ・スペースにおいて、コリアン・アメリカンのアーティスト、ヨンスン・ミンにインタビューを行った。(3)11月末、研究代表者は、立命館大学国際言語文化研究所の連続講座「コリアン・ディアスポラ-交差する多様な表現-」において、韓国から劇団ミュトスを招き、『ディクテ』劇の公演とシンポジウムを企画した。この企画においても、本研究グループは中心的な役割を果した。(4)2004年1月末には、立命館大学のアート・リサーチセンターにおいて、チャのビデオ作品をカリフォルニア州立大学バークレー校のミュージアム(BAM)から借り出し、本邦初公開の上映とトークを行い、森美術館の学芸員、金善姫、韓国の写真家、バク・ヨンスク、NPO法人大阪アーツアポリアの代表、中西美穂が報告した。(6)2004年2月1日、研究代表者は、大阪市アーツアポリア共催シンポジウム、「マッドウイメン/日本韓国のフェミニスト・フォトグラファー、バク・ヨンスクの仕事を起点に」で報告。(7)他の研究グループ「ディアスポラ/アート」研究会にも、本メンバーが関わっており、連携して、2月中旬には、コリアン・ディアスポラのアーティスト、ミヒ=ナタリー・ルモワンヌを招き、立命館大学アート・リサーチセンター内の「表象とジェンダー」プロジェクト及び同大学言語文化研究所内「ジェンダー・スタディーズ」プロジェクト共催による共同研究会を行った。(7)同じく2月には、東京恵比寿のA.R.Tにおいて、テレサ・ハッキョン・チャとパク・ヨンスク、出光真子、嶋田美子、イトー・ターリらの作品展示とパフォーマンスを「ボーダーライン・ケース」展として、6月末に開くための準備会議を持った。以上が主な研究活動であるが、今年度は、2年間の本研究計画の最終年度に当たり、共同研究会、企画や調査実績をまとめなければならない。計画通りに遂行した2年間の研究活動とともに、今後の共同研究として、継続して遂行すべき課題を報告書のなかで確認しておきたい。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 池内靖子: "近代と女性の表象-日本における『人形の家』の上演と批評言説-"演劇人. 第14号. 80-88 (2003)
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[Publications] 池内靖子: "セックスワークの脱神話化?-リジー・ボーデンの映画『ワーキング・ガールズ』を中心に-"立命館言語文化研究. 15巻1号. 13-20 (2003)
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[Publications] 池内靖子: "<エンパシー>シンポジウムを振り返る はじめに-コラボレーション/コンフリクト-"立命館言語文化研究. 15巻1号. 57-58 (2003)
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[Publications] 池内靖子: "ゆだねること"立命館言語文化研究. 15巻1号. 79-80 (2003)
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[Publications] 池内靖子: "批評・解釈の政治学 テレサ・ハッキョン・チャの回顧展『観客の夢』(コンスタンス・M・ルウォレン著「テレサ・ハッキョン・チャ-彼女の時代と場所」〔共訳:池内靖子・北原恵〕の解説として)"インパクション. 136. 114-118 (2003)
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[Publications] 鄭暎惠: "身体化される経験/する経験「コメント」"グローバル化とジェンダー表象(ヴェラ・マッキー著舘、かおる・森本泰代責任編集)(御茶の水書房). 60-73 (2003)
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[Publications] 李静和: "影の言葉を求めて-いまだ幽冥の場所から"思想. 11月号. 2-7 (2003)
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[Publications] Rebecca Jennison: "Against 'Erasure' in the Midst of 'Unseeing' : Thoughts on the Empathy Project"立命館言語文化研究. 15巻1号. 81-86 (2003)
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[Publications] Rebecca Jennison: "Remembering as Resistance : The "Shaman" and the "Fox" in the Art of Tomiyama Taeko"京都精華大学紀要. 第25号. 183-200 (2003)
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[Publications] 北原恵: "表象の"トラウマ"--天皇/マッカーサー会見写真の図像学"心の危機と臨床の知(1)--トラウマの表象(森茂起編)(新曜社). 93-119 (2003)
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[Publications] 北原恵: "ファッション広告"グローバル化を読み解く88のキーワード(西川長夫他編)(平凡社). 232-235 (2003)
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[Publications] 北原恵: "「表象の戦争--消えた天皇・皇后像と「戦争画」」(AA41)"インパクション. 135号. 144-149 (2003)
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[Publications] 北原恵: "歴史の記憶と現代アート--女の身体/都市/ディアスポラ"アジアの新世紀(6):メディア--言論と表象の地政学(吉見俊哉他編)岩波書店. 195-214 (2003)
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[Publications] 北原恵: "解放への共同作業「マッド・ウィメン・プロジェクト」--バク・ヨンスクさんの写真表現"インパクション. 140. 100-115 (2004)
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[Publications] 北原恵: "最後の授業(特集:50人が語る松井やよりの人と仕事)"女たちの21世紀(アジア女性資料センター). no.34. 64-66 (2003)
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[Publications] テレサ・ハッキョン・チャ著 池内靖子訳: "ディクテ(翻訳)"青土社. 211 (2003)
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[Publications] 鄭暎惠: "<民が世>斉唱"岩波書店. 306 (2003)