2002 Fiscal Year Annual Research Report
地球規模での水循環・水利用を考慮した流域水管理モデルの策定
Project/Area Number |
14595004
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小尻 利治 京都大学, 防災研究所, 教授 (00026353)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 賢治 京都大学, 防災研究所, 助手 (30283625)
福島 武彦 広島大学, 工学部, 教授 (90124354)
友杉 邦雄 京都大学, 防災研究所, 助教授 (50027265)
|
Keywords | 分布型流出モデル / 水量・水質・生態系 / 水循環 / 水利用過程 / システムダイナミックス |
Research Abstract |
本研究は、気候変動下での水循環系、水資源系のモデル化を物理的、生態的観点より行い、持続可能、健全な流域管理を提案しようとするものである。今年は初年度として、資料収集や基本モデルの構築を中心に進めてきた。得られた成果や間題点をまとめると以下のようになる。 水資源システムダイナミックの定式化として、日本(本州)規模でのモデル化と本州を10kmのメッシュに区切り、流域としての水循環を保存したモデル化を行った。人口は出生、死亡率で与えられ、水質に応じた地域間移動を組み込んだ。気温、降水量による農業生産高の変動も導入しており、地球温暖化による産業活動、環境評価を可能とした。また、6大陸に分割したステラでの世界モデルの試作も行い、単一の全球型ではない流域性を保存した地球規模解析への展開を図っている。 なお、入手したGCMの出力が満足行く精度でなかったので、人間-水利用系の相互作用の定式化を達成することは出来なかった。今後、地域気候モデルMM5などを利用して相互作用を明らかにするとともに、いくつかのGCM出力での適用を図り、水資源状況の幅を推定したい。 水量、水質、生態系の流域シミュレーションに関しては、当研究室で提案しているHydro-BEAMの改良を行い、積雪-融雪から導水路、貯水池などの水管理施設の組み込みも可能とした。さらに、地下水や大気モデルとの結合を試みており、世界の地域にあった水循環モデルを作成している。ノニルフェノールなどの環境ホルモンに関しては、水生生物(魚)の内臓蓄積過程モデル(PBPK)とそれによる生存可能性モデルにより、成魚、稚魚、卵からの生存可能性を推定し、人間活動が及ぼす環境影響評価とした。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 小尻利治, 小林 稔: "GISを利用した分布型流出モデルのよる水量、水質の推定"河川技術論文集. 第8巻. 431-436 (2002)
-
[Publications] T.Kojiri, Y.Kinai, J-H.Park: "Integrated River Basin Environment Assessment On Water Quantity And Quality By Considering Utilization Processes"Proc. ICWRER2002. Vol.I. 397-401 (2002)
-
[Publications] 東海明宏, 小尻利治, 吉川仁恵: "分布型流出モデルをベースとした生態水質モデルによる流域環境評価"第6回水資源に関するシンポジウム論文集. 229-234 (2002)
-
[Publications] 田中賢治, 甲山 治, 池淵周一: "多様な農耕地の影響を考慮した中国淮河流域における水・熱収支推定に関する研究"第6回水資源に関するシンポジウム論文集. 603-608 (2002)
-
[Publications] 相馬一義, 田中賢治, 池淵周一: "数値気象予報モデルARPSによる琵琶湖プロジェクト集中観測時の大気場の再現"水文・水資源学会2002年研究発表会要旨集. 70-71 (2002)
-
[Publications] 甲山 治, 田中賢治, 池淵周一: "陸面過程モデルを用いた中国淮河流域における灌漑用水量の推定"水文・水資源学会2002年研究発表会要旨集. 84-85 (2002)
-
[Publications] 丹保憲仁, 丸山俊朗編: "水文大循環と地域水代謝"技報堂出版. 222 (2002)