2002 Fiscal Year Annual Research Report
重量式降水量計の開発による暖冬時の山岳降水の標高依存性に関する研究
Project/Area Number |
14595005
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
上野 健一 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (00260472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉茂 好匡 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (20241383)
田中 健路 熊本大学, 工学部, 助手 (30315288)
大畑 哲夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90152230)
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Keywords | 降水量計 / 降雪 / 暖冬 |
Research Abstract |
本研究は、遠隔地にて無電源で降雪量を測定し、山岳域における冬季降水量の標高依存性と暖冬時の変化量を把握する事を目的としている。今年度は、主に重量式降水量計の試作と、滋賀県北部における降雪・融雪量の簡単な見積もりに関する研究を実施した。 前者に関しては、円形透明アクリル受水タンクの底に圧力検知用トランスミッタを装着させた試作機1号を作成し、2002年暖候期に降雨観測を実施した。その結果、1)強風時の水面の振動によって大きく圧力が変動する事、2)日射による蒸発量が著しく大きい事、3)捧状ヒータではタンク全体の熱的対流が発生しないこと、が明らかとなった。1)に関しては2重風よけフェンスを構築することで風速が3分の1以下に低下し、振動による影響が数mm単位以下となった。2)に関しては蒸発防止用のパラフィン又はシリコンオイルを利用する事で対処した。さらに、ヒータの形状改良、受水タンクの2柔構造化、精密圧力トランスミッタ採用、電磁弁による排水機能強化、等の改良を施した試作機2号を作成し、2002年寒侯期の降雨・降雪観測を彦根にて実施した。降雪事例が少なく、強風によるフェンスの破損などの問題で十分な事例が観測できなかったが、冬季降水による重量変化が実用的に測定できる段階となった。 後者に関しては、滋賀県立大学集水域実験施設にて測定されている気象要素と2002年冬期積雪観測により、デグリアワーによる融雪量・個体降水判別実験式を構築した。簡易的な一次元モデルと数値地図データを利用して、琵琶湖集水域北部の日降雪・融雪・積雪水量変化を推定した。さらに気温と降水量の変化に伴う流域平均の積雪水量変化をシミュレーションした結果、モデルは気温に大変敏感で、1度程度の昇温でも降水量を20%程度増加させれば山岳積雪量が増加し積雪水量は維持されるが、2度昇温すると大幅に積雪水量が減少する事が示唆された。 2003年度は、多雪地域での試作機運用と、実測値によるモデルの検証を予定している。
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