2004 Fiscal Year Annual Research Report
シロアリ共生原生生物群集における多様性パターンとその創出機構の解明
Project/Area Number |
14596001
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
北出 理 茨城大学, 理学部, 助教授 (80302321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 純一 茨城大学, 理学部, 教授 (00192576)
三輪 五十二 茨城大学, 理学部, 教授 (00007816)
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Keywords | シロアリ / 共生微生物 / 多様性 / 群集 / 原生生物 |
Research Abstract |
本年度の研究から、以下のような研究成果が得られた。 (1)原生生物の個体間、地域個体群間の遺伝的多様性 ヤマトシロアリ属に共生するTeranympha属の原生生物を対象に、日本列島周辺域のシロアリの種あるいは地域個体群ごとに原生生物のSSUrRNA遺伝子をクローニングし、塩基配列を調べた。その結果、多くの種・個体群で遺伝子の配列に多型が見られ、とくにヤマトシロアリの愛知個体群とカンモンシロアリの山口個体群では非常に多様性が高く、T.spp.クローン間の相同性が低く、平均遺伝距離も他の地域個体群と比べ約8-16倍大きかった。配列から推定された系統樹の分岐パターンは、例外的クローンを除けば、ミトコンドリア遺伝子の配列から推定される宿主シロアリの系統関係とよく一致した。このことはヤマトシロアリ属の宿主とT.spp.の共生鞭毛虫が共種分化をしている可能性を支持する。対して、ヤマトシロアリ愛知個体群とカンモンシロアリ山口個体群のT.spp.のクローンは、系統的に離れた複数の群に含まれた。この結果に対する説明として、異なるシロアリの種・系統間での原生生物の水平感染と、共生鞭毛虫が無性生殖による繁殖の影響が考えられる。 (2)シロアリ共生生物群集の多様性と類似性 シロアリ類全体を対象に、属レベルでの共生原生生物組成の類似性の解析をクラスター分析と数量化3類を用いて行った。両分析共に、単系統性が分子系統学的解析によって支持されているクレードでは、通常共生原生生物の類似性が高いことが示され、宿主系統の組成とその多様性に強い影響を与えることが示唆された。また、ヤマトシロアリ属では、共生原生生物の他系統からの水平感染が示唆された。
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Research Products
(5 results)