2003 Fiscal Year Annual Research Report
計算機実験による核酸結合蛋白質の塩基配列認識能力の予測と制御
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14598001
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
齋藤 稔 弘前大学, 理工学部, 教授 (60196011)
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Keywords | DNA / 塩基配列 / 塩基置換 / 塩基配列の認識 / 蛋白質 / 分子動力学シミュレーション / 自由エネルギー計算 / 結合自由エネルギー |
Research Abstract |
核酸結合蛋白質は、特定の塩基配列部位を正確に認識する。この機構の研究は、主に実験によってなされてきた。すなわち、特定の塩基対やアミノ酸を置換した核酸や蛋白質を合成することによって、置換が機能へ及ぼす影響を調べた。しかし、これらの実験を系統的に実施するためには、専門家がかなりの時間と労力と経費をかけなければならない。このような実験を計算機で行うことが本研究の目的である。まず初めに、違いの最も小さい塩基どうし(チミン-ウラシル)を置換した。チミンのメチル基1個を水素原子に置き換えることによって、ウラシルに変換できる。筆者は、λ-repressorが結合するDNAコンセンサス配列のチミンをウラシルに置換して、λ-repressorの結合自由エネルギー変化を求めた。その結果、計算値(1.5kcal/mol)は、実験値(1.8kcal/mol)と良く一致した(PROTEINS,2003に発表)。次の段階として、メチル化されたDNA塩基対を認識する転写リプレッサー(MBD1)に適用している。MBD1は、メチル化されたシトシン-グアニン対を認識することが報告された(横浜市大、白川グループ)。彼らは、メチル化DNAとMBD1との複合体の溶液構造を明らかにした。まず、シトシンとメチル化されたシトシンの原子電荷をab initio分子軌道法によって決定した。更に、一般的な核酸塩基間の置換を行うために、その他の核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン)の原子電荷の計算を行った。現在、アデニンとグアニン、シトシンとチミンの間の置換を行うために、分子置換のプログラム(PERTURB)を改良している。改良を終わりしだい、直ちにシミュレーションに取りかかる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Saito M, Sarai A: "FIee energy calculations for the relative binding affinity between DNA and λ-repressor"PROTEINS. 52. 129-136 (2003)
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[Publications] 斎藤稔, 佐谷野健二: "地球シミュレータにおける蛋白質のシミュレーションのベクトル化と並列化による高速化"ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウムHPC2004. 2004. 81-86 (2004)