2002 Fiscal Year Annual Research Report
背地順応における魚類色素細胞のアポトーシスとその調節メカニズム
Project/Area Number |
14599012
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
杉本 雅純 東邦大学, 理学部, 助教授 (20235899)
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Keywords | 色素細胞 / メダカ / アポトーシス / 生存シグナル / 細胞骨格 / 皮膚 / PI3K / cAMP |
Research Abstract |
1 生存シグナルの関与と単離細胞培養系の確立 皮膚器官よりも構成が単純で、黒色素胞の形態の複維さが維持される鱗皮膚培養系を確立し、以下の結果を得た。ノルアドレナリン(NA)存在下で生じる黒色素胞のアポトーシスは、血清の添加により抑制される。この血清の効果を、MAPKK阻害剤PD98059は抑制した。しかし、PI3K阻害剤であるLY294002やwortmanninは逆に血清のアポトーシス抑制効果を増大させた。この効果は血清に依存するものではなく、NAによる黒色素胞のアポトーシスを直接抑制した。PI3KはAktを介して生存シグナルに関わる以外に、低分子G蛋白質の活性を制御してアクチン繊維の再構成に関わることが知られている。そこで、NA誘導アポトーシス過程における黒色素胞の形態および細胞骨格の変化と、それに対するLY294002の影響を調べた。黒色素胞は枝状突起数を減少させてサイズを縮小、形態を単純化させてアポトーシスへ向かう。このとき枝状突起に対応して微小管骨格の束は数を減らし、逆に検出できなかったアクチン繊維がみられるようになった。LY294002はこれらの過程を抑制した。これまでの研究とあわせて考えると、黒色素胞ではcAMP-PKA系およびMAPK系シグナルが生存を維持し、これが枯渇するとPI3K系シグナルなどにより形態の単純化とそれに続くアポトーシスが生じるという仮説がたてられる。形態の重要性追求の予備実験として、細胞骨格蛋白質の重合阻害剤などの影響を調べた。チューブリンの重合阻害剤は黒色素胞の形態を単純化させアポトーシスを誘導することがわかった。仮説の検証実験および単離細胞培養系の確立を継続中。 2 関連遺伝子のクローニングと発現 皮膚器官培養系でのNA誘導アポトーシスではmitfやtrp-2の発現変化はみられない。鱗皮膚培養系で検討中。
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