2003 Fiscal Year Annual Research Report
背地順応における魚類色素細胞のアポトーシスとその調節メカニズム
Project/Area Number |
14599012
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
杉本 雅純 東邦大学, 理学部, 助教授 (20235899)
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Keywords | アポトーシス / 背地順応 / 体色変化 / 色素細胞 / メダカ |
Research Abstract |
I細胞骨格の重合・脱重合とアポトーシス 細胞骨格阻害剤は、哺乳類の細胞株などでは細胞分裂を阻害し、P53またはJNKシグナル系を活性化してアポトーシスを誘導する。魚類の黒色素胞は分化した細胞で分裂することはなく、細胞骨格は形態の維持および細胞内輪送を主要な機能としている。鱗皮膚培養系を利用して、アクチンおよびチュウーブリンの重合阻害剤または安定化剤の影響を調べている。上記薬剤が黒色素胞の形態に影響を及ぼすこと、チューブリンの脱重合剤のみがアポトーシスを誘導することがわかった。また、鱗皮膚培養系では活性化した表皮細胞がアポトーシスを抑制している可能性が示唆された。そこで、初期胚の神経冠から分化させた黒色素胞培養系を確立し、表皮細胞のない状況での比較実験を行っている。 2背地順応によるゼブラフィッシュ色素胞のアポトーシス 近年、魚類のモデル動物としてメダカ同様ゼブラフィッシュの研究が発展している。ゼブラフイッシュは体表に縦縞模様をもち、単純な体色のメダカとは色素胞研究において相補的なデータを得る好材料となる。そこで、メダカの場合と同様にゼブラフィッシュを白または黒背地に長期間順応させ、色素胞のアポトーシスを調べた。白背地では早期に鱗皮膚の黒色素胞数がアポトーシスで減少し、その後真皮深部で縦縞を形成している黒色素胞も減少して模様も変化することがわかった。また、黒背地では虹色素胞数の減少とともに種類の変化がみられた。今後メダカでの結果と比較考察していく。 3分化への影響 マウスのチロシナーゼおよびTRP-2に対するポリクローナル抗体でメダカの黒色素胞の芽細胞の検出を試みたが明らかな結果は得られなかった。メダカtrp-2の全長クローニングが完了したので、これをプロープとして芽細胞の検出、アポトーシス時の発現変化を詳細に調べてゆく。
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