2002 Fiscal Year Annual Research Report
映像メディアにおけるモーション表現の美的構造に関する実践研究
Project/Area Number |
14651008
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
本村 健太 岩手大学, 教育学部, 助教授 (70281946)
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Keywords | 映像メディア / モーション表現 / バウハウス / 造形言語 / 造形要素 |
Research Abstract |
1 本研究課題に基づき、その準備段階としての考察を試論としてまとめた。 生活空間のなかに浸透している映像メディア(映画、テレビ、ゲーム、インターネット)において、「モーション表現」が、いかに使用されているかを考察し、そこでの「運動・変化の視覚化」について注目した。そして、そのような表現として成り立つ美的構造については、近代デザインの基礎を築いたドイツのバウハウス運動における成果の一つである、造形言語の創出という実験的実践を参考にした。モーション表現における造形要素については、バウハウス教師であるヴァシリー・カンディンスキー、パウル・クレー、ラズロ・モホリ=ナギ、バウハウスで学んだギオルギー・ケペッシュらの過去の実践研究のなかで、運動を含んだ表現に関する考察が同時代的なものとして登場してきていることを確認し、本研究の基礎としても明確に位置づけられることになった。 一般的な映像メディアによるモーション表現には、音楽や効果音が付加されている場合が多い。音楽と映像の「ハーモニー」という視点、視覚・聴覚の相補性という視点から、「コンピュータ・グラフィックス(CG)の父」と呼ばれる業績を残したジョン・ウィットニーの『ディジタル・ハーモニー』を参考にして、その原点ともいえる相関関係の基礎付けを試みた。このことは、バウハウスの芸術的理念から継承される実践において、新たな造形文法を見いだす重要性について再認識することとなった。 モーション表現に関する共通言語、その造形文法を今後明確にし、構造化を進めていく前提として、「動く文字」としての「モーション・タイポグラフィー」の構造的分析の考察を準備的に開始した。ここにみられる造形要素は、基本的には文字以外の対象物の場合と差異のないことが確認され、今後の研究への手がかりとももなった。 2 モーション表現の実践 インターネット上で閲覧できるFlashアニメーションを制作することによって、モーション表現と音楽との関連づけや、2D(二次元)の平面上における様々な運動の設定などについての実験的な実践研究とした。制作した作品は、「Moonlight Chaser-Awakening」と題したが、ドイツ、ハンブルクでのフィルム・フェストにおける「flash-award 2002」というイベント部門においてノミネートされ、映画館上映及びインターネット上での公開がなされることとなった。
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Research Products
(1 results)