2003 Fiscal Year Annual Research Report
認知的バイアス解消のための実験心理学的手続きの開発
Project/Area Number |
14651015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧川 哲夫 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30098503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞嶋 良全 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (50344536)
増地 あゆみ 北海学園大学, 経営学部, 専任講師 (00322777)
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Keywords | ジェンダー・バイアス / メッセージ効果 / 説得 / 態度変容 / バイアス解消 |
Research Abstract |
本研究は,認知的バイアスを解消する手続きとして説得的コミュニケーションの方法を導入し,説得メッセージの内容による効果を確かめる方法を開発することであった。説得的コミュニケーション場面では,当該争点に対して容認あるいは排除するメッセージを挿入し,その挿入前後の態度変化を調べるが,これまでの説得的コミュニケーションでは争点に関するメッセージ内容について必ずしも操作的な構造を持たせていなかったと言える。本研究では,その操作として,(1)争点に対する反論の理由づけ,(2)争点を評価する判断基準,という2つの構造を想定し,これらが説得に対してどの程度の有効性を持つかを実験的に検討し,認知的バイアス解消手続きの方法論的開発に寄与することを目的としている。 実験場面として,子供にジェンダーに関連したプレゼントを贈る場面を設定した。子供が喜ぶ反ジェンダー的プレゼントか,伝統的ジェンダー観に基づくプレゼントかを選択するという場面は,かなり強固な認知的バイアスが関係する。 メッセージ提示前の選択において,ジェンダーステレオタイプ的選択肢を選んだ被験者のみを対象にして分析をおこなった結果,メッセージの提示前後の主効果のみが有意であった。また,最初の選択でジェンダーステレオタイプ的選択肢を選択した被験者のみを対象に,バイアスの大きさについて,メッセージ条件×性別×ストーリー×メッセージの提示前後で分散分析を行った結果,メッセージの提示前後の主効果,およびメッセージ条件との交互作用が見られた。 これらのことから,認知的バイアスに対する直接的指摘と間接的指摘の効果の違いは,選択肢の評価に対してではなく,意思決定への影響の違いにあらわれることが示唆された。これは今後の認知的バイアス解消研究の方向として,有効な実験条件設定にむすびつくものと言える。
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