2002 Fiscal Year Annual Research Report
視覚確認作業におけるエラー傾向を検出する新検査法と改善訓練法の開発
Project/Area Number |
14651016
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
行場 次朗 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50142899)
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Keywords | ヒューマンエラー / 視覚作業 / 注意 / 見落とし / 大城・局所 / 視野差 |
Research Abstract |
本研究は、視覚確認作業におけるエラー傾向を検出し,防止するために,新たな検査法と改善法の開発をめざすことを目標としている.そこで申請者が考案した複合数字抹消検査(Compound Digit Cancellation Test,以下CDCTと呼ぶ)を導入し、検討を行った.CDCTは,小さな数字(局所数字)を並べて大きな数字(大域数字)を構成した複合数字を多数印刷した検査用紙上で,特定のターゲット数字が局所または大域数字に見出されたときに,斜線を引いてチェックを行う作業を一定時間行う作業検査である。 本年度は、CDCTにおいて確認作業を行う際の走査方向について検討した。これまで,CDCTの走査方向は、横書きの文字を読むときのように、左から右の一方向に限られていた.この走査方向では,右視野,つまり局所情報の処理が優位とされる左脳に新しい刺激の入力が先になされる.走査方向を逆に,つまり右から左に走査すると左視野、つまり大域情報の処理に優れるとされる右脳に新しい刺激が入力されると考えられる。 実験の結果、左から右に走査する試行(L→R試行)よりも,右から左に走査した試行(R→L試行)の方が大域数字の検出率が有意に高くなるという結果が得られた.局所数字の検出率は同程度であった。また、注意の切り替えを要求される連続抹消試行の分析を行うと、局所のつぎに大域数字にターゲットがあらわれる条件で、R→L試行のパフォーマンスがL→R試行よりもかなり大きく向上した。また両試行間で所要時間には差がなかったことから,スピードと正確さのトレードオフは否定された. これらの実験結果は、視覚確認作業においては、特に再チェックのときなどには、走査方向を右から左に行うとより全体情報をより的確に把握できたり、局所から大域への注意切り替えがより柔軟に行えることを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 二瀬由理, 行場次朗, 大橋智樹: "階層パタンの認知における視覚的注意の個人特性"日本心理学会第66回大会発表論文集. 596 (2002)
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[Publications] Ohashi, T., Gyoba, J., Morikawa, S.: "Measurement of the attentional performance towards reduction of human error occurrence"Proceedings of the XVth Triennial Congress International Ergonomics Association. (In press). (2003)