2003 Fiscal Year Annual Research Report
運動制限を主とするストレス状況下の中高年者の認知及び心理社会的能力低下の予測評価
Project/Area Number |
14651019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八田 武志 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80030469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐澤 かおり 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (50249348)
仲秋 秀太郎 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (80315879)
長谷川 幸治 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50208500)
飯高 哲也 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (70324366)
川口 潤 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (70152931)
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Keywords | ストレス状況 / 長期入院患者 / 整形外科的手術 / 認知機能 / 情動機能 / 縦断的研究 |
Research Abstract |
運動制限ストレスにさらされることによる入院患者の認知、心理社会的機能への影響を縦断的に検討する目的で、医学部倫理委員会の了解を得て下記の実験調査研究を実施した。長期入院を必要とする股関節手術を受ける患者群と脊髄手術を受ける患者群を比較した。 縦断的検査には認知機能評価には、(1)文章記憶(直後遅延再生)、(2)マネー道路図検査、(3)言語流暢性検査、(4)D-CAT(数字抹消検査)、性格・情動機能評価には、(5)J-SACL、(6)Barthel Index、(7)SAS-SR、(8)SSQ、(9)SF-36、(10)VAS、(11)GDS、(12)モズレー性格検査を採用して、入院時、手術説明時、、手術後2週間、手術後、6週間の4時点で検査を実施した。 現時点での検査修了者は、股関節手術患者38名、脊髄手術患者44名、統制群3名のデータを収集した。統制群の人数が少ないので股関節群と脊髄群を比較検討した結果からは、(1)手術説明時での検査は脊髄群では心的負担が過剰な場合があること、気分の変化は手術後の時点まで脊髄群が股関節群より有意に抑圧的であること、うつ感情も強いこと、(2)直後・遅延記憶検査や文字流暢性検査などの認知機能は比較的低下が少なく、繰り返し実施による成績の増加が見られる検査項目が一般的であること、(3)情報処理速度を反映する認知機能や作業記憶を含む検査項目では手術後2週間の時点でも検査の繰り返し学習による成績の上昇は生じないこと。このことは手術後2週間以内での前頭葉機能低下を示唆し、一般的な痴呆への移行が起こりうること、などが明らかとなった。 (4)ADLでは顕著な群間の差異は認められなかった。 以上の検討からは数字抹消検査(D-CAT)が短時間で実施でき費用も廉価であることから長期入院によるストレスからの認知機能低下の兆候を知る点で有効性をもつことが示唆された。なお、本研究の結果は国際学会や国際誌で発表する予定であり、準備中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hatta, T., et al.: "Differential processing of implicature in individuals with left and right brain damage."Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology. 67(In press). (2004)
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[Publications] Hatta, T., et al.: "Relations between the prefrontal cortex and cerebro-cerebeller functions."Applied Neuropsychology. 11(In press). (2004)
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[Publications] Yoshizaki, Hatta: "Hemisphere metacontrol of a mental addition task in right and left handers"Journal of Human Environmental Studies. 1. 1-8 (2003)
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[Publications] 伊藤恵美, 八田武志他: "レジャー活動への参加は認知機能に影響を与えるか?"人間環境学研究. 1. 15-20 (2003)
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[Publications] Ito, Hatta: "Re-analysis of the performance of traumatic brain injury patients on the available neuropsychological tests."Psychologia. 46. 199-209 (2003)
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[Publications] Karasawa, et al.: "Depression among Japanese informal caregivers for elderly people."Psychology, Health and Medicine. 8. 371-376 (2003)
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[Publications] 八田武志: "改訂版 脳と行動の仕組み"医歯薬出版. 190 (2003)